松下電器産業,ソニー,シャープ,東芝,オランダのロイヤル・フィリップス・エレクトロニクスなどが1月9日,家電同士を相互接続する仕様「HAVi」(home audio/video interoperability)を実装した機器のデモを共同で公開した。公開の場は,米国ラスベガスで開かれている家電の見本市「CES」(consumer electronics show)。家電をネットワーク化し,さらにインターネットなどに接続する技術がいよいよ実用レベルに近づいてきた。

 HAViは,テレビやビデオ,大容量のハード・ディスクなどの「AV家電」をIEEE1394ネットワークに接続し,それぞれの家電のネットワークを介した遠隔操作や動画データのやり取りを可能にする技術。1998年5月に松下,ソニー,シャープ,東芝,フィリップスなど8社が仕様の策定団体「HAVi推進協議会」を結成し,2000年1月に正式仕様のバージョン1.0を公開した。今回のデモは,各社の実装機器をマルチベンダー間で接続する初めての公開実験となる。

 今回のデモは大きく,(1)高精細テレビ用のディスプレイとハード・ディスク,ディジタル・ビデオ・カメラのマルチベンダー間相互接続,(2)Javaベースのソフトウエア「Havlet」の機器間送信実験,(3)5GHz無線ネットワーク上での(1)と同様のデモ,(4)HAViネットワーク上でのEPG(電子番組ガイド)を使った録画予約や,米マイクロソフトなどが策定したもう一つの家庭向けネットワークの仕様「UPnP」(universal plug and play)との相互接続--の4種類。

 家電ネットワークの仕様は,複数のコンソーシアムが策定に取り組んでおり,林立状態になっている。HAViの前提となるIEEE1394インタフェースの普及や,HAViの仕様策定にやや時間がかかったこともあり,一時はHAVi協議会の創立時メンバーの中にも実現を疑う声が出ていた。もっとも現在は,主要な家電メーカー約50社がHAVi推進協議会に参加している。今回,着実に実装が進んでいることを示せたことで,製品化までの距離は大幅に縮まったと言える。

(野沢 哲生=日経コミュニケーション)