インターネットのドメイン名やIPアドレスの割り当てを管理している日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は,12月22日に開催した臨時総会で「.jp」で終わるドメイン名の登録管理事業を民営化する方針を決定した。JPNIC理事会から提案された民営化案が,JPNICに会費を拠出する会員企業による投票で可決。2001年1月にも新会社を設立し,ドメイン名の管理業務の移行を開始する。新会社の設立時の資本金は6000万円。ドメイン名の管理以外の業務は,JPNICが継続して行う。

 ドメイン名の登録管理を民営化する計画は,JPNICが10月に公表したもの。ドメイン名の登録主体を,現在の社団法人から民間会社に移行すれば資金調達や投資活動が容易になる。2001年から登録開始を予定している「汎用jpドメイン名」の提供体制を整える狙いがある。また,インターネット利用が拡大したことでドメイン名登録による収益が増加し,公益法人としての事業から切り離す必要に迫られていた。

 ただし,この民営化計画は,公表された直後の11月に開いた前回の総会では会員企業の理解を得られず,継続審議の扱いになっていた。このためJPNICではその後約1カ月間,背景と議論の経緯などの情報公開を展開し,今回の議決に望んだ。臨時総会で行われた会員による議決投票は,(1)汎用jpドメイン名の登録業務を担う新会社の設立と,(2)既存ドメイン名の管理業務の新会社への移管,および会費制度の変更──の二つに分けそれぞれを採決した。(1)案は有効投票数831票のうち賛成644票,反対141票,棄権46票で可決,(2)案も有効投票数829票のうち賛成593票,反対183票,棄権53票で可決した。

 二つの提案が可決されたことで,今後JPNICはドメイン名の登録管理事業を段階的に民営化する。まず2001年3月までに新会社の運営体制を整える。2001年5月からは新会社による汎用jpドメイン名の本格運用が始まり,2002年以降にすべてのjpドメイン名の登録管理業務を移管する。

 汎用jpドメイン名はJPNICが新たに運用開始を予定している新しいドメイン名。これまで設けていた登録者の属性による条件や,登録数の制限を撤廃するため,登録者数の急増が見込まれる。

(滝沢 泰盛=日経コミュニケーション)