xDSL(digital subscriber line)事業者のイー・アクセスは12月20日,ADSL(asymmetric DSL)サービスの通信速度を最大1.5Mビット/秒に高速化すると発表した。2001年2月1日から変更する。NTT東西地域会社が12月26日,最大1.5Mビット/秒のADSLサービスを開始するのに追随した格好だ。

 イー・アクセスは,インターネット接続事業者(プロバイダ)に対してxDSL回線を提供する通信事業者。松下電器産業,NEC,ニフティなどのプロバイダがイー・アクセスのADSL回線を採用し,月額7000円前後のADSLインターネット・サービスを提供している。

 これまでイー・アクセスは,下り(NTT局からユーザー宅方向)が最大640kビット/秒,上りが最大320kビット/秒のADSL回線を提供してきた。この通信速度は,NTT地域会社が試験サービスとして提供してきた下り512kビット/秒,上り224kビット/秒よりも高速だった。ところがNTT地域会社は,12月26日にADSLを本サービスに移行し,最大速度を下り1.5Mビット/秒,上り512kビット/秒へと高速化。イー・アクセスのサービスはNTT地域会社のサービスに比べて通信速度で見劣りする形になってしまった。そこでイー・アクセスは,NTT地域会社のサービスと同じ通信速度への高速化に踏み切った。

 イー・アクセスは,すでに利用しているADSL設備を変更せずに高速化を実施する。同社が採用したADSL装置は,ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)の「G.992.2」(旧称G.lite)に準拠したもの。G.992.2は下りが最大1.5Mビット/秒,上りが最大512kビット/秒で伝送できる仕様である。そのため,ADSL設備を全く変えずにサービスを高速化できるのだ。また,センター側の装置の設定変更だけで速度を変えられるため,ユーザー宅のADSLモデム側で設定するといった手間は発生しない。

 今後,イー・アクセスのADSL回線を使うプロバイダ各社は,高速化に順次対応していく予定。イー・アクセスは,高速化してもADSL回線料金をほとんど値上げせずにプロバイダに提供する方針である。ただし,高速化によってプロバイダ側の設備負担は大きくなる。そのため,プロバイダによって,同じ料金のまま高速化したり,料金を変更し別メニューとして提供するなど,対応が異なる見通しである。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)