IPv6をテーマにした国際会議「Global IPv6 Summit」が12月18日,大阪国際会議場で開幕した。世界各国から約600人が参加し,12月19日までIPv6(internet protocol version 6)を取り巻く現状と課題について議論が交わされる。IPv6は次世代インターネット・プロトコル。現在のIPv4に比べてアドレス空間をほぼ無限大に拡張,セキュリティなどの機能も組み込んでいる。

 基調講演に立ったWIDEプロジェクト代表の村井純・慶応義塾大学教授は,「IPv4アドレスが枯渇したときに対応できる技術はIPv6しかない。IPベースではない代替の通信技術があり得ないとはいえないが,現在のところ実用可能なものは登場していない」と,IPv6の重要性を改めて強調した。しかしその一方で,「95年まではインターネットに新しい技術を導入することは比較的容易だった。しかし,商用利用が始まった95年以降,新技術の導入は格段に難しくなった」(村井氏)と,IPv6の導入について課題を指摘。急増したインターネット・ユーザーにIPv6を理解してもらうために,IPv6を臨床的に使用できる実証テストが重要だと語った。

 村井氏はさらに,IPv6の普及について,2001年に主要機器でIPv6の実装が完了し,2002年には主なインターネット接続事業者(プロバイダ)が商用のIPv6接続サービスを提供すると予想。「IPv6を組み込んだ家電機器も,2002年に市場に登場するだろう」と将来を展望した。いよいよIPv6の実用化が近付いてきたというわけだ。

 村井氏の講演内容を裏付けるように,メーカーやプロバイダのIPv6対応計画も続々と明らかになった。

 NTTコミュニケーションズは,IPv6を採用した商用サービスを2001年春に開始することを明らかにした。現在同社は,IPv6パケットをIPv4パケットにカプセル化するトンネリング接続でIPv6試験サービス接続を提供している。IPv6の商用サービスの開始時点では,トンネリング接続に加えてIPv6をそのまま提供するネイティブ接続も提供するという。

 またNECは,IPv6を搭載した家庭向けルーターを2001年後半に発売することを表明。同時期に,同社が提供しているインターネット接続サービス「BIGLOBE」で,専用線接続メニューに加えてADSL接続とCATV接続でもIPv6をサポートするという。

(阿蘇 和人=日経コミュニケーション)