イーエムシージャパン(EMCジャパン)は12月6日,同社のファイル・サーバー「Celerra」を使う企業に向け,Celerraで共有しているファイルをSAN(storage area network)経由で転送可能にするミドルウエア「HighRoad」を出荷した。CADデータを処理するコンピュータや動画を配信するWWWサーバーなどが,主な対象となる。

 Celerraは,遠隔ファイル・システム用のTCP/IPプロトコルを搭載したファイル・サーバーである。UNIXのNFS(network file system)とWindowsのCIFS(common internet file system)のサーバー機能を備えている。Celerraを使えば,SAN上の共有ストレージにNFSやCIFSでアクセスすることが可能である。

 ただし,CelerraはTCP/IPアプリケーションを用いたファイル・サーバーであるため,クライアントとなるコンピュータへはIPネットワークを経由してデータを転送しなければならなかった。NFSとCIFSでファイル・アクセスの利便性を高められるものの,肝心のデータ転送速度はローカル・ストレージやSANと比べて遅すぎた。

 今回,Celerra向けにHighRoadを提供することで,NFSやCIFSを使ってファイル・アクセス要求をCelerraに依頼し,実際のファイル・データは高速なSAN経由で受信できるようになった。この方法を同社は「ネットワーク・リクエスト,チャネル・デリバリ」(マーケティング本部プロダクト・マーケティング部の松浦良樹ディレクター)と呼んでいる。

 HighRoadは,Celerraのファイルにアクセスするサーバー機上で動作させる。HighRoadをインストールできるサーバー機のOSは,SolarisまたはWindowsNT 4.0である。今後,他のUNIX版やWindows2000版を出荷する予定である。

(日川 佳三=日経コミュニケーション)

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