NTT東西地域会社は,競合事業者からの反発を回避するために,他社のサービスを活用して「Lモード」を提供する。Lモードは,NTTドコモが提供している携帯電話機向けのインターネット・サービス「iモード」の“固定電話機版”である。

 同サービスではディスプレイ搭載の専用電話機を使い,文字主体のWebコンテンツの閲覧や電子メールのやり取りができる。NTT地域会社は2001年春から開始する予定だが,KDDIや日本テレコムなど8社が11月8日と22日,相次ぎ「県内通信に限定されているNTT地域会社の業務範囲を超えている」として郵政省に意見を申し立てた。これを受け,郵政省では公正競争上の調査を進めている。

 これに対してNTT地域会社は,「Lモードは現行制度上でも問題なく提供できる」(NTT東日本幹部)との立場をとっている。NTT地域会社が県間サービスを提供することについては,番号案内サービスで他社の県間回線を使ってしていることを根拠に挙げる。インターネット接続については,96年に国内通信に業務範囲を限定されていたNTTに郵政省が「OCN」の提供を認めた,というのがその根拠だ(OCNは現在NTTコミュニケーションズが提供)。しかしその一方で,競合事業者の了解を取り付けるため,他社のサービスをフル活用する。

 具体的には,(1)加入者電話網から東西地域会社がそれぞれ1カ所ずつ用意するLモード・ゲートウエイまでを接続する県間にまたがるネットワーク,(2)Lモード・ゲートウエイにつながる上位のインターネット接続--で,他社のサービスを利用する。

 またNTT東西地域会社は「Lモードは,インターネット接続サービスの独占につながる」との他社の警戒心を解くために,電子メールにファイルを添付できないようにする。さらに,「固定電話機にはIPアドレスを付与しないので,インターネット接続サービスには該当しない」(NTT東日本幹部)としている。

(吉野 次郎=日経コミュニケーション)