NTTドコモが12月8日,PHSを利用した映像配信サービス「M-stage visual」を開始する。移動電話とMPEG-4を利用した動画配信サービスは世界初だという。NTTドコモのPHS端末とM-stage visual対応端末「eggy」(エッギィ:写真)を組み合わせて使う。サービス開始時点で47チャネル130番組以上の映画や音楽,ニュース,スポーツ情報などのコンテンツを用意。これらをストリーミングまたはダウンロードして利用する。

 M-stage visualは,NTTドコモのPHSサービス・エリア内すべてで利用できる。アクセス・ポイントには,NTTドコモが提供中のインターネット接続サービス「mopera」(モペラ)を利用する。eggyに接続するPHSは,通常の電話機型の端末,コンパクト・フラッシュ・カード型のデータ通信専用端末のどちらでも構わない。データ通信速度は,32kビット/秒と64kビット/秒の両方に対応する。

 サービス利用料は,M-stage visualサービス利用料が月額200円,PHS通信料が15円/分。有料コンテンツに関しては,各コンテンツごとに設定された料金が必要。コンテンツ利用料は,「おそらく高くても月額300円前後」(NTTドコモ)。また,サービスの利用に欠かせないeggyはオープンプライスだが,実勢予想価格は2万5000円前後という。NTTドコモは,W-CDMA方式の次世代携帯電話サービスを開始する2001年5月末までは,M-stage visualのサービス利用料を無料にする予定。

 eggyの主な仕様は,外形が131×39×81mm,重さがリチウムイオン充電池込みで225g。画像表示部は557×234ドットの2インチTFT低温ポリシリコンカラー液晶を採用し,数十万色以上でフルカラー表示できる。HTMLに準拠した簡易ブラウザを搭載するため,iモードの非公式サイトを表示することも可能。また,35万画素のCCDカメラが付いており,動画・静止画の撮影や,撮影データのインターネット・メールでの送信ができる。なお,連続表示時間は約70分。

 M-stage visual用のコンテンツは,MPEG-4と呼ぶ映像符号化方式を使い,最大10フレーム/秒の映像番組として提供する。1番組は「2~3分程度の長さのものが多い」(NTTドコモ)。ツタヤ オンライン,時事通信社,東映アニメーション,日本テレビ,キリンビール,TBS,ムービーテレビジョン,フジテレビなど数十社がコンテンツを提供する。また,eggyにはAV出力機能があるため,取り込んだコンテンツをテレビ・モニターなどに表示させることもできる。

(杉山 泰一=日経コミュニケーション)