郵政相の諮問機関である電気通信審議会は11月17日,10月から検討してきた「接続ルールの見直しについて」の草案を公表した。草案ではNTT東西地域会社に対して,光ファイバの開放を義務化する方針を明らかにした。今後一般から意見を募集して,12月中に1次答申として公表する。12月中にもNTT地域会社は,他の通信事業者に対して光ファイバを開放することになりそうだ。

 光ファイバの開放は,xDSL(digital subscriber line)事業者のイー・アクセスや東京めたりっく通信,KDDI,日本テレコムなどが求めてきた。光ファイバそのものを借り受ければ,低料金で高速なFTTH(fiber to the home)サービスを提供したり,自社網を構築してxDSLサービスの中継コストを安くできるからだ。しかしNTT地域会社は,ユーザー宅まで光ファイバが敷設しているケースがほとんどないことや,電力会社なども光ファイバを保有していて独占ではないため,光ファイバは接続義務がある「指定電気通信設備」ではないと主張してきた。

 これに対して草案では,光ファイバを使うサービスはNTT地域会社のシェアが50%超であることを理由に,光ファイバを指定電気通信設備と判断。「き線」と呼ぶ加入者線の幹線が光化されていない場合を除いて,光ファイバを他の事業者に開放すべきとした。配線部分の光ファイバがない時でも,NTT地域会社は他事業者のために光ファイバを敷設して提供しなければならない。き線の光化率は全国では40%前後だが,都市部では100%近い。通信事業者は,高速サービスのニーズがある都市部エリアでNTT地域会社から光ファイバを借りられるようになる。

 実際の開放時期は,NTT地域会社のFTTHサービス開始と合わせて12月中になる見通しである。接続料金は検討を続ける予定だが,当面はNTT地域会社が明らかにしている加入者線の光ファイバ・コストである1心当たり月額6665円または7090円を適用する。

 このほか草案では,NTT地域会社が「フレッツ・ISDN」サービスで活用しているIPネットワーク「地域IP網」も,他の通信事業者に提供すべきとした。NTT地域会社にとってこうした義務化は,膨大な投資して構築したインフラを競合事業者に提供することになるため厳しい条件だ。一方,他事業者にとっては,初期投資を抑えて高速インターネット・サービスを提供できる環境が整うことになる。

(中川 ヒロミ)