IP電話サービスは一般に,IPネットワークと電話網を相互接続する「VoIPゲートウエイ」と,IPネットワーク上の呼制御処理を受け持つ「コール・エージェント」と呼ぶサーバーを連携処理させることで実現する。sigtranは,共通線信号網から送られてきた共通線信号を,コール・エージェントに転送するプロトコル。
共通線信号は,提供する機能ごとに複数のプロトコルで構成している。例えば,通話回線の設定や切断などを実現する「ISUP」や信号パケットを転送する「MTP」,高度サービスなどを実現する「SCCP+TCAP」などである。MTPに相当するレイヤー4プロトコル「SCTP」(stream control transmission protocol)は既に,2000年10月に正式標準として完成済み。今回のSS7-SUAは,SCCP+TCAP相当の仕組みを組み込んだものである(図)。
新草案は,カナダのノーテル・ネットワークスやフィンランドのノキア,独シーメンスなどの技術者が作成した。ただし,まだ草案の段階であり,これらのメーカーが自社製品に採用するかどうかは未定である。