NTT東日本とNTT西日本は11月14日,xDSL(digital subscriber line)サービス向けに提供している銅線の新しい利用料金を郵政省に認可申請したと発表した。新料金は月額410円で,現在の月額800円と比べてほぼ半額。郵政省は早ければ12月末にも認可し,新料金が適用される見通しである。ADSL(asymmetric DSL)インターネットの実質的な値下げにつながることは間違いない。

 NTT地域会社は99年12月から,他の通信事業者に対して銅線を貸し出している。具体的にはNTT局の配線盤から銅線を引き出して,他の通信事業者のxDSL機器に接続する「MDF(主配線盤)接続」と呼ぶ形態である。NTT地域会社以外の通信事業者は,このMDF接続を利用してxDSLサービスを提供している。

 MDF接続には,大きく分けて2種類がある。一つは,1本の銅線に電話音声とxDSL信号を多重する場合。もう一つはxDSL信号だけで1本の銅線を利用するケースである。今回の料金改訂により,電話と多重する場合が月額800円から410円へ,多重しない場合が月額2600円から2244円に値下げされた。

 既に東京めたりっく通信やイー・アクセスなど多くの通信事業者が,MDF接続を利用してxDSLサービスを提供している。例えば東京めたりっく通信は,月額5500円で下り640kビット/秒のADSLインターネット・サービスを提供中。ただしユーザーは,NTT地域会社に月額800円の銅線利用料金も支払う必要があったため,ユーザーが支払う合計額は月額6300円だった。今回の値下げで,ユーザーが支払う料金の合計額は6300円から5910円となる見通しだ。

 今回NTT地域会社が申請した料金は,「これまでにNTT地域会社が提供してきたMDF接続にかかったコストよりも安い」(NTT東日本)と言う。回線数が少なく,作業に不慣れだったこれまでの実績で料金を計算すると高額になるため,回線数が多い専用線にかかるコストを適用して料金を設定した。

(中川 ヒロミ=日経コミュニケーション)