「ピア・ツー・ピア(P to P)技術はWebブラウザのMosaicや検索サービスのYahoo!以上の革命をもたらす」---。米インテルのパトリック・ゲルシンガー副社長兼CTO(最高技術責任者)は10月20日,WORLD PC EXPO 2000の会場で,ファイル交換ソフトの「Napster」や「Gnutella」で注目を集めるP to P技術をテーマに講演した。

 ゲルシンガー副社長は,P to P技術が注目されるようになったのは,処理性能やディスク容量が増加したクライアント・パソコンを有効活用できるからだという。

 パソコンの処理性能が向上した結果,その性能をフルに活用しているユーザーは少ない。こうしたパソコンの未使用の処理性能を合計すると,5万台のスーパーコンピュータに匹敵する処理ができるとゲルシンガー副社長は推測する。同様にユーザーが未使用のディスク領域も増加を続け,2003年には世界中のWebサーバーのディスク容量に匹敵する100ペタ(10の15乗)・バイトに達すると見る。

 このあり余るクライアントの能力をインターネットが生かすというのだ。インターネット経由でクライアント-サーバー間またはクライアント同士で処理を分担する仕組みを実現するのがP to P。これにより,ほとんどの処理をサーバーで実行する現在のWebシステムでは不可能だったサービスがいくつも実現できるという。

 ゲルシンガー副社長は,サービスの例としてファイル・サーバーを利用せずにファイルを共有する仕組みなどを披露した。「P to Pは登場間もない技術であり,現状は技術を生かすアプリケーションを模索している段階。だが今後,画期的なサービスが続々と出てくる」と断言した。