NTT西日本は10月17日,同社が提供するISDN常時接続サービス「フレッツ・ISDN」に9月下旬に発生したトラブルについて,その原因と対策を発表した。トラブルは,9月24日,26日および28日に,最大3時間半にわたってNTT西日本管内でフレッツ・ISDNが断続的に接続しにくくなるというものだった。

 トラブルの原因は大きく2種類あった。一つは,ユーザーをインターネット接続事業者(プロバイダ)に接続させる際に使用する制御装置(以下,プロバイダ制御装置)の設定ミス。24日と26日のトラブルの原因がこれに当たる。プロバイダ制御装置は,フレッツ・ISDNのユーザーを接続先のプロバイダに振り分けるのと同時に,同時接続数を制御する役割を持つ。NTT西日本は,フレッツ・ISDNのサービス・エリア拡大とともに同時接続数の設定値を上げていかなければならないところを,エリア拡大以前の数値のままで運用するというミスを犯してしまった。このため,実際にはまだ許容範囲内の接続数でも,接続許容数をオーバーしたとプロバイダ制御装置が判断し,ユーザーの接続要求を拒否した。

 もう一つは,プロバイダ制御装置そのものの能力不足。28日のトラブルの原因がこれである。NTT西日本は,24日と26日に発生したトラブルを復旧させるためにプロバイダ制御装置を予備機に入れ替え,トラブルの原因を究明していたが,その情報収集の作業が原因でプロバイダ制御装置がダウンしてしまった。プロバイダ制御装置で収集していた接続ログが膨大なものとなり,収集のために必要なメモリーがNTT西日本の予想を超えてしまったため,プロバイダへの振り分けや接続数管理といった本来の処理に必要なメモリーが不足したのである。

 NTT西日本は,原因判明と同時に必要な措置を取り,現在のところトラブルは再発していない。ただし今後,同様のトラブルが発生しないよう,フレッツ・ISDN提供エリアのプロバイダ制御装置の再点検や作業マニュアルを見直すとともに,運用状況の監視を強化する。また,今回のようなプロバイダ制御装置の不具合により影響を受けるユーザーを少なくするために,プロバイダ制御装置の分散配置を進める。10月6日以降に拡大したエリアについては,すでに県単位にプロバイダ制御装置を設置した。

 また28日の故障原因となったプロバイダ制御装置は,最新のものと入れ替える。このため,11月13日の午前4時から約30分程度,プロバイダ制御装置を停止する予定だ。この停止時間中は,ユーザーのプロバイダへの接続操作ができなくなる可能性があるが,停止時間帯以前にプロバイダへの接続操作を終えているユーザーには影響はないという。

(蛯谷 敏=日経コミュニケーション)