日本ルーセント・テクノロジーは9月13日,日本向けのxDSL(digital subscriber line)装置を発表した。製品名は「Stinger LS」で,10月にも出荷を開始する。海外メーカーで日本向けのxDSL製品を発表したのは,カナダのノーテル・ネットワークスに続いて2社めである。国内では,住友電気工業とNECが日本向け製品を出荷している。

 Stinger LSは,ユーザー宅のxDSLモデムと対向で使うDSLAM(DSL access multiplexer)と呼ぶ装置。多くのxDSL回線を収容する機器で,xDSL事業者がNTT局に設置する。最大200回線を収容する「モデル1」と最大280回線を収容する「モデル2」がある。北米などでルーセントが出荷しているDSLAM「Stinger FS」に比べると,収容回線数はどちらも半分以下。「収容回線数が少ないため1回線当たりの価格は,海外向けに比べて日本向けのStinger LSの方が高くなる。ただし収容回線数を高めた製品を開発中で,今後価格は下がる」(米ルーセント・テクノロジーズ インターネットワーキング システムズ ネクストジェネレーション アクセスのブルース・ミラー シニア・プロダクト・マネージャー)。

 Stinger LSの最大の特徴は,ITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)のADSL標準「G.992.1」(旧称G.dmt)と「G.992.2」(旧称G.lite)の付属勧告であるAnnex Cに対応すること。Annex Cは,NTT地域会社のISDN回線がADSL回線に及ぼす悪影響を軽減する仕様である。日本以外の多くの地域では,北米向けの付属勧告であるAnnex A対応製品が主流。ルーセントは1年前からAnnex A対応のStinger FSを出荷してきたが,今回日本向けのAnnex Cに対応する製品を発表した。

 国内では99年12月以降,多くの通信事業者がNTT地域会社の銅線を借り受けてxDSLサービスを提供中である。6月までの半年間では問題が発生しなかったため,通信事業者はAnnex AとAnnex Cのどちらに対応した製品でも採用してよいことになった。それでもNTT東日本,NTT西日本,イー・アクセスは,自社のADSLサービスにAnnex C技術を採用。さらにAnnex A製品を活用してきた東京めたりっく通信も,並行してAnnex C製品の導入を始めている。海外メーカーが相次ぎAnnex C対応製品を出荷を始めたこともあり,国内ではAnnex C対応製品の採用が主流になりそうだ。

中川 ヒロミ