ニフティ(記事詳細)とぷららネットワークス(記事詳細)が相次いで迷惑メール対策を強化すると発表した。ニフティの強化ポイントは,登録リスト以外からはメールを受け取らない,いわゆるホワイト・リストとともに「送信者認証」技術を追加した。ぷららでは,学習型の「ベイジアン・フィルタ」機能を追加し,送信者認証に対応する計画を明らかにした。

 両社が採用に踏み切る送信者認証とは,「このメールの送信者は確かに,当社の会員である」とISP(Internet service provider)が証明するための技術。迷惑メールの送信者はアドレスを偽るのが普通。しかし,送信者認証に対応したISPのアドレスから来たメールは,偽装でないことが確認できる。メールの内容が迷惑ならISPに対処を要請できる。ISPでは,会員資格を停止したり,場合によっては警察などに会員情報を提示する。

 送信者認証方式には「Sender ID/SPF(sender policy framework)」と「Domain Keys」の2種類がある。両者に互換性はないが,同時に採用することは可能である。ニフティの会員(らしき人物)からメールを受け取ったら,いずれかの方法で正当な会員であることを確認すればよい。

 送信者認証技術は,もちろんISP以外でも利用できる。銀行やクレジット・カード会社をかたった詐欺が発生している。送信者認証を利用すれば,確かに銀行やカード会社からのメールであると確認できる。フィッシング対策に有効な技術としても期待できる。

 送信者認証が実用的になるには,なるべく多くのISPや企業が採用しなければならない。既にIIJが表明済み。これに今回,個人向け市場で大きなシェアを持つニフティが加わった。ぷららも積極的な態度を見せた。今後も,採用に踏み切るISPが登場すると見られる。採用が当たり前になれば,送信者認証を採用していないドメインからのメールは自動的にゴミ箱へ送られる運命になるかもしれない。。迷惑メールに悩む記者としては,ぜひそうなってほしいものであるが。

(前田 潤=日経コミュニケー ション 副編集長)

出典:【デスク前田潤が吠える!】

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