携帯電話ソフトの遠隔更新システムを手がける米InnoPathソフトウェア(旧DoOnGoテクノロジーズ)。携帯電話のソフトウエアを無線ネットワーク経由で自動的に更新できる。NTTドコモが2003年10月から導入済みだが,au(KDDIと沖縄セルラー電話)も2005年中の商用化を表明した。同社システムの採用事業者が広がる背景を,ペンCEOに聞いた。

(聞き手は高槻 芳=日経コミュニケーション

--なぜ日本携帯電話事業者の採用が続いたのか。
 日本の携帯電話機はあまりにも急速に進化してしまった。端末のソフトウエアは肥大化する一方で,バグ発生のリスクはもはや事業者の手に負えない状態だ。これに伴い,端末の出荷後にソフトのバグが発覚するケースも増えている。
 それを防ぐのが当社のシステムだ。携帯電話のパケット通信機能を利用してソフトの更新ファイルを取得。端末上の機能により,自動的にバグを修正する仕組みになっている。

--ドコモとauが採用したシステムは同一のものか。
 一言でいうと“世代”が違う。auが採用した新世代のシステムでは,携帯電話のソフト更新は,数ある新機能の一つという位置づけだ。携帯電話網側から端末の状態を遠隔診断したり,ユーザーが任意のタイミングで端末ソフトそのものを追加できる仕組みを持たせてある。例えば,携帯電話事業者が電話機能だけ搭載した安価な端末を販売し,ユーザーが後からメールやゲーム,動画・音楽再生などの機能を追加するといった新しいサービス形態を実現できる。
 もちろん,携帯電話のソフト更新機能で比べても進化している。修正ソフトのダウンロードにかかる時間を短縮したり,障害時の復旧機能も高めてある。例えば更新ファイルのダウンロード中にパケット回線が切れても,次回の接続時に残りのデータを取得できる。

--新システムの採用事業者はNTTドコモ,au以外にも広がるのか。
 すでに中国のチャイナ・ユニコムが採用を表明している。具体的な名前は明かせないが,2004年末には米国と欧州で1社ずつ加わるだろう。韓国の事業者も採用に動いている。