米センティリアム・コミュニケーションズは,東西NTTやイー・アクセスのADSL(asymmetric digital subscriber line)サービスのADSLモデムにチップを提供することで知られる。2004年3月には,FTTP(fiber to the premises)市場をターゲットにする「オプティカル・ビジネス・ユニット」を立ち上げた。アルマンド・ペレイラ・オプティカル・ビジネス・ユニット・ゼネラル・マネージャに同社製品の特徴と今後の戦略を聞いた。(聞き手は山根 小雪=日経コミュニケーション)

--そもそも「FTTP」とは何を指すのか。
 FTTPはfiber to the premises(敷地内,構内)の略だ。これまでFTTH(fiber to the home)やFTTB(fiber to the building)など光ファイバを引き込む建物の種類ごとに言い方を変えてきた。FTTPは戸建て住宅,集合住宅,企業のビルなど何でもいい。
 2003年後半にRBOC(regional Bell operating company:米国のベル系地域電話会社)がRFP(request ror proposal)に記載したのがきっかけで使われるようになった。

--どういう製品をFTTP用に作るのか。
 FTTPサービス用のPON(passive optical network)装置に内蔵するチップだ。PONとは,収容局から延びる光ファイバの途中にスプリッタを入れて分岐し,各加入者宅に引き込む仕組みのこと。収容局側の加入者収容装置(OLT)とユーザー宅の終端装置(ONU)で実現する。
 PONと一言にいっても色々な方式があるが,当社は「GE-PON(gigabit Ethernet-PON)」,「B-PON(broadband-PON)」など複数の方式に対応する。
 当社ではOLTとONUに内蔵するチップを製造している。通常は,装置内に三つのチップを搭載する。当社のチップの特徴は,三つのチップをワンチップ化したこと。チップが小型になり,コストが下がる。

--ADSLモデムには相互接続性がないが,FTTPサービスのPON製品の相互接続性はどうなるのか。
 日本市場のADSLは急激な高速化に相互接続試験が追いつかず,結果としてサービスごとに固有のADSLモデムを使う形となった。NTTグループをはじめとする通信事業者は,FTTPサービスでは相互接続性を確保しようと動いているようだ。
 ただ,ADSLモデムよりもPON装置の方がプロトコルなどが複雑。相互接続性を確保するのは技術的なハードルも高い。

--ADSLの時代は終わると見ているのか。
 ADSLがすぐに終わるとは思っていない。ただ緩やかに減少する傾向にある。一方で,FTTP市場が立ち上がってくることは間違いない。