“次世代”との触れ込みで2002年に登場したブレード・サーバー。だが2004年にPCサーバー全体に占める割合は台数ベースで4%程度にとどまっている。ブレードの実装密度の高さに起因する物理的制約や、ラック型など既存サーバーとの混在利用の難しさなど運用面での課題が解決されてないためだ。ベンダー各社は、来るべきユーティリティ・コンピューティングの基盤の座を狙い、仮想化などによる課題解決を急いでいる。

(広岡 延隆)


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 「ブレード・サーバーの『BladeSymphony』は、当社が総力を挙げて開発した基幹商品。拡販に向け本腰を入れる」――。

 日立製作所の庄山貴彦主任技師は、この4月に同社が情報通信グループの体制を大幅に変更した狙いが、ブレード・サーバーの拡販にあると断言する。BladeSymphonyは、64ビットのItanium 2を2個搭載するブレードを4枚組み合わせると、最大8ウエイのSMP(対称型マルチプロセサ)サーバーとして利用できる意欲作。日立はこの製品を、基幹商品に位置づける。

図1●ブレード・サーバーの出荷台数の実績と予測。将来は飛躍的に伸びると期待されるも、2004年の実績はPCサーバー全体の4%を占めるにとどまった
図2●ブレード・サーバーの出荷台数が伸び悩む理由
 日立だけではない。一度はブレード・サーバー市場から事実上撤退したデルが昨年11月に再参入したほか、サン・マイクロシステムズは2006年をメドにブレード・サーバーの再投入を検討している。にわかにベンダーの動きが騒がしくなってきた。

 ブレード・サーバーはプロセサ、メモリー、ハードディスクといった部品を細長いボード(ブレード)に搭載し、それをシャーシに挿入して利用するもの。ブレード1枚1枚が、スタンドアロン型やラック型といった他のサーバーと同等の性能を持つ。

 2002年にブレード・サーバーをこぞって日本市場に投入したベンダー各社は、ブレード1枚が従来型サーバー1台より安価なことや、設置スペース削減や運用負荷軽減などROI(投資対効果)の高さを強調。企業システムのWebサーバーやアプリケーション・サーバー置き換えを訴えてきた。

 ところが、登場から3年以上たった今も、ブレード・サーバーの出荷台数は伸び悩んでいる。調査会社のガートナーによれば、2004年のPCサーバー市場の中でブレード・サーバーは出荷台数ベースで4%を占めるにとどまっている(図1[拡大表示])。

高密度実装がボトルネックに

 なぜブレード・サーバーが伸び悩んでいるのか。すでにブレード・サーバーを導入したユーザー企業やベンダー各社への取材から、ブレード・サーバーの普及を妨げているであろう課題が浮かんできた(図2[拡大表示])。


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