• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

  • PR

NC特集2

実態は「町のパソコン教室」以下

これでよいのか!高校のIT教育

高下義弘 2005/03/31 日経コンピュータ

「教員の能力が低く、表計算ソフトやメール・ソフトの操作しか教えられない」。「教科書があまりにも簡単。高校生に教えるべき内容とは思えない」――。高等学校におけるIT教育に対して、教育界や産業界で批判が噴出している。「すべての高校生に『情報活用能力』を身につけさせる」という高い理念の下、3年前に華々しく始まった高校IT教育は、いまどうなっているのか。実態を明らかにする。

(高下 義弘)


【無料】サンプル版を差し上げます本記事は日経コンピュータ2005年4月4日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「クローズアップ」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

ある「情報」担当教師の告白

 2年前から公立高校で教科「情報」を教えている。それまでの15年間、生物を担当していたが、校長の鶴の一声で“転職”させられた。2003年から必修になった「情報」の教員免許を持つ先生を確保する必要が生じ、私に白羽の矢が立ったようだ。

 パソコンはなんとか電子メールを使えるぐらいの私だが、情報の教員免許は簡単に取得できた。夏休みに3週間、講習に通うだけですんだ。最初は、「アルゴリズム」や「IPアドレス」といった耳慣れない言葉の洪水に焦ったが、「修了試験もなにもない」と聞いて安心した。その後は、我慢して机に座っているだけで、本当に免許をくれた。

 あれから2年。授業はなんとかこなせている。教科書には「情報の伝達」とか「情報の統合」といった、仰々しいタイトルが並んでいるが、要はワープロや検索エンジンの使い方を説明するだけ。生徒にはパソコンを使った“実習”をやらせていれば、週2コマ(100分)は、あっという間に過ぎる。

 もっとも、まじめに授業を受けている生徒はほとんどいない。パソコン・オタクの生徒は、勝手に何かをやっている。一方で「情報は大学入試には関係ない」と、英語や数学の“内職”に励む生徒もいる。私が言うのも何だが、高校におけるIT教育は、これでいいのだろうか――。

 これは、本誌が取材した教育関係者数人の証言をもとに、平均的な高校におけるIT教育の現状を描写したものだ。「世界最先端のIT国家を目指す」とうたったe-Japan計画の一環として、鳴り物入りで導入が決まった高校のIT教育は、早くも当初の理念を見失い、迷走状態に入りつつある。

「操作教育」に終始

 「すべての高校生に『情報活用能力』を身につけさせる」。こうした理念を掲げ、文部省(現・文部科学省)は1998年に、ITを教える新しい教科「情報」を制定。2003年度から必修科目とすることにした。これにより日本の高校生380万人は、在学中の1年間、必ず週2コマの「情報」の授業を受ける。「1年間、週2コマの必修」は、「政治・経済」や「地理A」と同じ位置付けだ。

 しかし開始から丸2年がたった今、高校のIT教育はとうてい軌道に乗ったとは言い難い。「実際の授業は、学習指導要領に記されている『問題解決の工夫』や『情報伝達の工夫』といったお題目とは、かけ離れている」と、ある教員は明かす。

図1●高等学校におけるIT教育の問題点
 冒頭で紹介したように、多くの場合、「情報」の授業の中身は、表計算ソフトやプレゼンテーション・ソフトなどアプリケーション・ソフトの操作方法と、インターネットの利用法の指導が中心(図1[拡大表示])。教科書を見ても、「タイトルや見出しを強調するには、ゴチック体を使いましょう」とか、「スライドに音声ファイルを張り付けると、臨場感が出ます」といった記述が各所に出てくる。しかも学校教育の性格上、特定製品の利用を前提にできないので、操作法の教育といっても、ごく表面的だ。

 教科書には、「コンピュータの動作原理」や「インターネット上の知的財産権の取り扱い」に触れている章もあるが、多くの高校では、こうした部分もスキップしてしまう。「範囲が広すぎて、すべてをきちんと教えようとすると、週に2コマでは終わらない」と、高校のIT教育に詳しい尚美学園大学 芸術情報学部情報表現学科の小泉力一教授は指摘する。「校内に設置されたパソコンのおもりに追われ、授業の準備を十分にできない教員も多い」と言う。

1万人超の教員を短期に育成

 高校のIT教育は、どうしてこうなってしまったか。理由は大きく二つある。一つは平均的な教員の能力が低いこと。もう一つはIT教育の中身が明確になっていないことだ(図1参照)。

 まず教員の能力だが、「情報」を担当する教員のほとんどは、アプリケーションの操作方法やインターネットの利用法しか教えられない。「教えない」のではなく、能力不足で本当に「教えられない」のだ。IT教育に詳しい慶應義塾大学環境情報学部の大岩 元教授は、「情報科学から著作権問題まできちんと教えられる教員は、ほんの一握り」と指摘する。

 一人ひとりの教員のやる気や資質に問題があるのではない。問題の本質は、「情報」担当教員の育成体制にある。


続きは日経コンピュータ2005年4月4日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。


あなたにお薦め

連載新着

連載目次を見る

今のおすすめ記事

ITpro SPECIALPR

What’s New!

経営

アプリケーション/DB/ミドルウエア

クラウド

運用管理

設計/開発

サーバー/ストレージ

クライアント/OA機器

ネットワーク/通信サービス

セキュリティ

もっと見る