クライアント・パソコンからの情報漏洩を防ぐ新手法として、「ブレードPC」が注目を集めている。国内の事例が出始めたほか、今年前半には日本ヒューレット・パッカードが国内販売を開始。日立製作所も自社開発することを表明した。ブレードPCは、パソコンをブレード化して集中管理し、クライアント側では入出力のみを実行する。従来のシンクライアント製品と構成が似ているが、OSを共有しないためにユーザー環境の移行が容易だ。ただし、初期コストは高い。
本記事は日経コンピュータ2005年2月7日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「クローズアップ」の全文をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。
写真3点は米クリアキューブテクノロジーのブレードPC製品 |
例えば日立製作所は、2005年度中には情報・通信グループのクライアント5万台のうち1万台をブレードPCに移行する。しかも、国内大手メーカーとして初めてブレードPCの自社開発を表明し、市販も視野に入れている。
ブレードPCとは、クライアント・パソコンのプロセサ、メモリー、ハードディスクといった本体部分を「ブレード」と呼ぶ薄いボードに集約。ラックに複数枚のブレードを搭載して、大量のクライアント・パソコンを1台のきょう体に集合させたもの。ブレード・サーバーのPC版と言える。
運用管理の簡素化も期待できる。クライアントOSへのパッチ(修正ファイル)あてやソフトウエアの配布をサーバー・ルームで一括して行えるほか、あるユーザーが使っているブレードが故障しても別のブレードに簡単に切り替えられるからだ。
昨年、日本IBMを筆頭に数社が米クリアキューブテクノロジーのブレードPC製品「ClearCube PC Blade Solution」の販売を始めた。日本ヒューレット・パッカード(HP)は、米HPが昨年4月から北米で販売している「HP Consolidated Client Infrastructure(CCI)」を今年前半にも国内市場に投入。冒頭で紹介したように、日立も開発・販売を予定するなど、市場は活発に動き出した。
写真3点は米ヒューレット・パッカードのブレードPC製品 |
漏洩対策と使い勝手のトレードオフ
ブレードPCの使い方は、シトリックス・システムズのMetaFrameに代表される、従来型のシンクライアント製品と似ている。
結論から言えば、セキュリティと運用管理の面で得られるメリットは、ブレードPCとMetaFrameで変わらない。しかしシステム構成の違いから、利用上の制約や注意点、コストに差がある。また、ひと口にブレードPCと言っても、現状では大きく2種類に分けられる。ブレードPCとクライアント側端末との接続形態が全く異なるため、この2種類の間でも、利用上の制約や注意点、コストが違う。
こうした共通点、相違点は、それぞれの構造を知れば一目瞭然である。
共通点は、各ユーザーのクライアント・アプリケーションを1カ所で動かすことから得られるメリットとデメリットである。日立の事例で、それらを確認しよう。
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