|
|
実験で見えたICタグの現実(第1回-1)マルエツなどの取り組みから探る関東圏で食品スーパーを展開するマルエツなど3社は今年1月,他社に先駆けて進めてきたICタグ実験の成果を公表した。ICタグを導入したところ,店舗の商品販売数が他店の2倍を記録。加えて,消費者がICタグの導入に好意的だったなど,ICタグの実用化を目指す企業にとって明るい材料が得られた。一方で,実験の準備に意外と時間がかかるなど,現実の厳しさが浮き彫りになった。 「ICタグ 注1)が売上高の増加に貢献する可能性を秘めていることを確認できた」。ICタグ実験で中心的な役割を果たしたマルエツの高橋晋物流部部長は,満足そうに話す。 いまやICタグに対する企業の導入意欲は高まる一方だ。商品の棚卸しや入出荷の際に,リーダー(読み取り装置)でICタグのIDを読むことで,その所在や生産・物流・販売の履歴を正確に把握できる。さらに商品の売り場にリーダーを置き,消費者がICタグを読むと商品の生産地や利用方法などを表示できるようにすれば,顧客サービスの向上につながる。 こうした期待のもと,ICタグの可能性を探る企業が相次ぎ登場している。すでに三越や伊勢丹,京急ストア,日本航空,全日本空輸,佐川急便など大手企業10社以上が,ICタグを利用した実証実験を積極的に進めている。 ICタグで商品販売数が「倍増」 その先駆的な存在と言えるのがマルエツである。同社は昨年9月24日から11月23日にかけて,NTTデータや丸紅と共同でICタグ実験を実施。約100品目の食品にICタグを取り付けて,(1)メーカーから卸売業者,店舗,消費者までのサプライチェーンにおける物流の効率化に使えるか,(2)商品管理の効率を向上できるか,(3)店舗で顧客に喜ばれるサービスを提供できるか,といった視点で,実際の物流拠点と店舗など20拠点における実証実験を進めた。実験には,食品メーカーや卸売業者など24社の取引先を巻き込んだ。 その結果,「基本的にICタグの情報をリーダーで問題なく読み取れる」ことや,「読み取ったICタグの情報をサプライチェーンを構成する複数の企業の間で正確に引き継げる」ことを確認した。加えて冒頭の高橋部長の言葉にあるように,売り上げ向上につながる可能性があることも分かった。
実験を行ったマルエツ潮見店(東京都江東区)では,ICタグを付けたインスタント・スープやヨーグルトなど77品目の加工食品の平均販売数が1週間当たり1490個に達した。これに対し,潮見店と規模や立地などの条件が類似した3店舗の平均値は704個。ICタグを導入した結果,商品販売数は倍増したことになる(図1[拡大表示])。 ただし,この結果は単純に「ICタグのおかげ」とは言い切れない。例えばICタグを取り付けた商品を,来店した顧客に目立つように陳列していたことも影響したとみられる。それでも,ICタグが何らかの形で商品の売れ行きにプラスに作用したことは確かだ。 以下,マルエツなどが今年1月に発表したICタグ実験の成果をもとに,ICタグの現実を探っていく。
|1/2|次ページへ
本記事は日経コンピュータ2004年3月8日号Close Upとして掲載したものです。 |