会見に臨む東京三菱銀行の
畔柳信雄頭取(中央)と、
UFJホールディングスの
玉越良介社長(右)、
UFJ銀行の沖原隆宗頭取(左)
(写真:丸毛透)

 東京三菱銀行とUFJ銀行は8月12日、今年10月に予定していた両行の合併を来年1月に延期することを正式発表した。両行の勘定系システムを接続する時期も、今年10月から来年1月に延ばす。東京三菱銀行の畔柳信雄頭取は、「合併で誕生する新銀行の規模や社会的責任の大きさを考え、今までよりも高い次元でシステムの安全性を確認するため、従来よりも一段上の目線で、テストやリハーサルを実施することを経営判断で決めた」と、延期の理由を説明した。同日付で、金融庁から合併の予備認可を得たことも明らかにした。

 今回のシステム統合を巡っては、両行のシステム幹部はこれまで一貫して、「システムは開発・テストともに完了している。10月の切り替えは問題ない」と主張してきた。にもかかわらず、金融庁が再三にわたりテスト不足を指摘してきた経緯がある。最終的に、両行の経営層が統合延期を決めたとなると、金融庁の指摘が正しく、システム部員のテストに落ち度があったかのように解釈できてしまう。

 こうした点について、「延期を決めた経緯をシステム部員にどう説明するのか」との質問に、畔柳頭取は、「システム部員が昼夜問わずがんばっていることは、十分認識している」とした上で、「だが、今回の統合プロジェクトでは、銀行には従来よりもさらに大きな責任がある。システム部員には、これまでよりも高いレベルのシステムを作り上げるため、いっそうレベルアップしてもらいたいと考えている。システム部員にはそう伝えたいし、システム部員も、分かってくれると信じている」と続けた。

 東京三菱銀行とUFJ銀行の合併は来年1月に延期するものの、持ち株会社の三菱東京フィナンシャル・グループとUFJホールディングスの合併、三菱信託銀行とUFJ信託銀行の合併、三菱証券とUFJつばさ証券の合併は、それぞれ予定通り今年10月1日に実施する。

大和田 尚孝=日経コンピュータ