ミラポイントは迷惑メール(スパム)対策機能などを強化したメール・サーバー専用機のベンダー。米ミラポイント ワールドワイド・フィールド・オペレーション担当の上級副社長であるクリストフ・クーリーン氏(写真)に、スパム対策製品のビジネスについて聞いた。

――日本のユーザーはいつごろスパム対策に目覚めると考えているか。

 米国では現在、インターネットを流れるメールの約70%がスパムという状況になっている。日本はまだそのような危機的なレベルにはないが、いずれそのような状況になるのは間違いない。

 それがいつかは明確にはわからないが、スパムの流通量が日本でも上昇し始めているのは確かだ。このカーブを見る限り、遅くとも3年後には日本も今の米国並みにスパム対策が必要になる。つまり、3年後には日本国内のすべての企業が、何らかのスパム対策に投資しているという状況になるだろう。

 もちろんすでに投資を始めたユーザーもいる。当社が起業したのは1997年。2000年には日本への進出を果たしたが、これまでは正直あまりビジネスにならなかった。しかし今年の春頃から明らかに状況が変わり始め、ビジネスになってきた。

――ライバルは多い。他社製品に対してどのような点がアドバンテージになると考えているのか。

 大きく二つある。一つはスパムの検出精度だ。とくに正しいメールをスパムと間違って判定する「フォールス・ポジティブ」の可能性が他社の製品に比べて大幅に小さい。ほぼ100%間違えないと言って良いくらいだ。

 誤検出率の低さは「MailHudle(メールハードル)」と「RAPID AntiSpam(ラピッドアンチスパム)」という二つのスパム対抗技術による。

 MailHudleは初めてメールを受け取るメール・サーバーには、いったんビジー・メッセージを送って、必ずメールを再送させるという技術だ。正しいメール・サーバーなら再送するが、大半のスパム送信者はメールの再送を行わないという性質を利用している。彼らはメールを送るのに忙しいからね。単純な方式だが、これでスパムの約70%をカットできる。

 それでも残ったスパムは、RAPID AntiSpamで判別する。これはメールを受け取るたびに、インターネット経由で米国にあるデータベース「リアルタイムディテクションセンター」にスパムかどうか問い合わせるもの。リアルタイムディテクションセンターは24時間、世界中のメールを収拾し続け、特定のメールがスパムかどうかを判別できる。

 我々のもう一つの強みは電子メールとアプライアンスの技術の両方を知り尽くしていること。我々のアプライアンスはよく最適化されているので大量のトラフィックを遅延なく処理できる。LDAPのような電子メールの標準技術にきちんと対応している。私の見る限り、他社の製品は電子メールを我々ほど理解できていないように思う。

聞き手は山田 剛良=日経コンピュータ