NTTデータ、慶応義塾大学、日本プラントメンテナンス協会、東洋精器の4企業・団体は8月5日、ICタグを使った、工場の製造工程管理の実証実験の結果を公開した。工程を開始・終了するごとにICタグをアンテナにかざすことで、進捗状況をリアルタイムにサーバーに登録。進捗が遅れている工程はどこか、一目で分かるよう可視化し、効率化に役立てる狙いである。

 実験は、3月14日から25日の間の平日、静岡県浜松市内にある東洋精器の本社工場で実施した。同社は二輪車や四輪車の歯車部品の製造を手がけている。「複数の企業から不定期に注文が来る。そのためには製造工程をこれまでよりもフレキシブルにする必要がある」と東洋精器代表取締役の小岸 宣夫社長は現状を説明。「バーコードやQRコードでは読み取り作業が面倒。ICタグは作業員があまり意識することなく導入できるのがメリット」と続ける。

 自動車部品を製造する部門で実験した。まず、ICタグを張り付けた生産指示書を生産物とともに、生産プロセスに載せた。各工程で、作業員が近くにあるアンテナに指示書をかざす。どの注文の生産物が今どの工程にあるかは、NTTデータが開発したシステム上で一覧表示できる。通常であれば、製造現場にいって作業指示書を一つひとつチェックしなければならないところである。

 ICタグは、13.56MHzのものを100枚使った。1回使用したタグは、データを書き換えて再利用した。NTTデータはICタグとシステム開発。東洋精器は実験フィールドを提供した。慶応大学は生産モデルに関するアドバイザ、日本プラントメンテナンス協会は製造業についてのアドバイザとして実験に参加した。

福田 崇男=日経コンピュータ