「米国で当社のアプリケーション・サーバーの売り上げは、BEAシステムズのWebLogicを抜きつつあり、市場シェア1位のIBMのWebSphereに迫る勢いだ。日本でも、アプリケーション・サーバーを中心としたミドルウエア群『Fusion Middleware』事業で年率50%以上の伸びを目指す」。日本オラクルでシステム事業推進本部長を務める三澤智光執行役員は、こう宣言する。

 この目標の実現に向け、日本オラクルはFusion MiddleWareの販売体制を大幅に強化する。同社にとって2006年度の始まりに当たる7月1日付で、営業担当者21人から成る「Fusion Middleware営業部」を設立。同時に技術部門に、Fusion Middleware専任の担当者81人を配置し、合計102人の体制とする。「2005年度はアプリケーション・サーバーに関係する専任部隊は30人だった」(三澤執行役員)ので、3倍強に増やしたことになる。さらに2006年度末(2006年6月末)までに、Fusion Middlewareの専任担当者を126人(営業担当者30人、技術者96人)に増やす予定だ。

 オラクルが全世界的に、データベース・ソフトとERPパッケージ(統合業務パッケージ)以外のミドルウエア製品に「Fusion Middleware」という統一ブランド名を付けたのは、今年5月(日本では6月)。Fusion Middlewareはアプリケーション・サーバー「Oracle Application Server 10g」を中心に、BI(ビジネス・インテリジェンス)ソフト「Oracle Business Intelligence 10g」、データ統合ソフト「Oracle Data Hub」、グループウエア「Oracle Collaboration Suite」、運用管理ソフト「Oracle Enterprise Manager」などで構成する。

 日本オラクルは2006年度上半期には、「主にアプリケーション・サーバー、BIソフト、運用管理ソフトに力を入れる」(三澤執行役員)。アプリケーション・サーバーのシェア拡大に加えて、「BIソフトではシェア3位以内を狙う。運用管理ソフトについては、売り上げを前年比300%以上にするのが目標」(同)。下半期には、グループウエアと企業内検索ソフト「Enterprise Search」などを投入していく考えだ。

 同社は7月25日、Fusion Middlewareを構成するソフトの一つである「Oracle BPEL Process Manager」を8月9日に出荷すると発表した。BPEL Process Managerは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)を実現する上で必要になるBPM(ビジネス・プロセス・モデリング)機能を提供するもの。ビジネス・プロセス記述言語の「BPEL(Business Process Execution Language)」を用いて業務フローを記述し、そのフローに基づいて異なるシステムの処理を進めることができる。

 BPEL Process Managerは、Oracle Application Server 10g Enterprise Editionのオプションとして提供される。価格は、Oracle Application Server 10g Enterprise Editionが375万円、BPEL Process Managerが125万円。三澤執行役員は「BPELソフト市場で1位を獲得する」と意気込む。

島田 優子=日経コンピュータ