独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)は7月19日、教育現場におけるオープンソース・ソフトウエア(OSS)活用実験の結果を報告した。教師の8割以上が、「不十分な点があるものの、学校のIT活用授業に十分耐えられる」と回答した。

 実験は、大きく分けて2種類、実施した。一つは、主に小学校や中学校などでパソコンの操作を教える授業でLinuxが使えるかどうかを試すもの。パソコンのOSをすべてLinuxにして、授業を行った。実験期間は昨年10月から今年の5月まで。茨城県つくば市の中学校など計9校、3089人の生徒が参加した。

 二つ目の実験は、主に専門学校や大学などを対象に、プログラミングやシステム管理の授業でLinuxが使えるかどうかを調べた。既存のパソコンに、KNOPPIXと呼ばれるLinuxを導入し、実験した。KNOPPIXは1枚のCD-ROMにOSを収録してCDから起動するもので、既存パソコンのOSを入れ替えずに利用できるのが特徴である。今年の1~6月、大学や専門学校、高校などの計8校、673人が参加した。小学校も1校参加し、パソコン操作の授業でKNOPPIXを利用してみた。

 2種類の実証実験の結果、従来の授業で利用していた教材の8割以上が、若干の修正が必要ながら、OSSでも利用できた。IPAの秋間升参事によれば、「岐阜大付属小学校のように、実証実験への参加を機に実際にLinuxに完全移行した学校もある」という。

 実験結果の詳細は、IPAのWebサイト上の報告書で見ることができる。IPAは、8月中をめどに、ベンダーが教育機関にOSSを導入するためのガイドブックを公表する予定である。

安藤 正芳=日経コンピュータ