NTTデータが金融業向けコンサルティング事業に本格的に乗り出した。銀行、生・損保、証券、信託銀行などのリテール・サービスを強化したい金融機関にITを使った新しいビジネスモデルの提案を仕掛ける。従来の共同利用型サービス中心から、個別金融機関への食い込みを強化するのが狙い。

 コンサルティングを手掛けるのは、NTTデータ本体の特別金融企画本部とグループ内シンクタンクであるNTTデータ経営研究所の金融コンサルティング事業部。前者は昨年4月に設置した部署で、現在は20人体制。後者はこの6月に新設したばかりで数人の陣容である。年内に両社を合わせて50人体制にまで拡大する。

 特別金融企画本部と金融コンサルティング事業部のトップはいずれも金融機関やコンサルティング業界からの中途採用者で、これまで顧客企業のIT部門中心できたNTTデータの提案スタイルを一新したい考え。NTTデータ経営研究所には第3者機関の役割を持たせ、必ずしもNTTデータの利益にならないことでも顧客に提案する。自社内のコンサルティング部門だけでは、自社商品/サービスを前提にしたコンサルティングにとどまる傾向が強く、市場環境や他社動向を含めたコンサルティングを組み合わせるのが得策と判断した。

 コンサルティング事業強化は、NTTデータが今年度に始動した「クロスファイアー作戦」の一環だ。ソリューション別の“横のアプローチ”に対し、コンサルティング事業を“縦のアプローチ”として攻める。横のアプローチは、総勢160人の金融スペシャリスト部隊が受け持つ。「金融ソリューション推進室」、「営業店ビジネス推進室」、「金融戦略システム推進室」、「次世代バンキング推進室」の4部署からなり、いずれも今年4月に立ち上げた。

 NTTデータは一連の施策により、金融関連事業の売上高を現在の2500億円から2007年3月期に3000億円超に伸ばす計画だ。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ