富士通は7月4日、系列病院や地域の診療所から患者のカルテなどの診療情報を閲覧できる電子カルテ・システム「HOPE/EGMAIN-EX WebEdition」の出荷を開始した。富士通製のハードウエアにミドルウエア、アプリケーション・ソフト、構築・サポートまでパッケージ化して提供する。主に、ベッド数が300床以上の大規模医療機関をターゲットにする。

 HOPE/EGMAIN-EX WebEditionは、Webブラウザがあればカルテを閲覧できるのが特徴。クライアントに専用アプリケーションをインストールせずに利用できる。患者や医師は、利用者番号やパスワードを使って認証し、携帯端末やPDAなどからカルテを閲覧できる。個人情報保護に配慮し、誰にどこまで開示するかを設定できるようにした。セキュリティのレベルは病院ごとにカスタマイズできる。富士通ヘルスケアソリューション事業本部の石田清信経営執行役は、「電子カルテの市場は急拡大し、2007年度には2.5兆円市場に成長する。市場をリードしてきたノウハウを基に売り上げを伸ばす」と話す。

 また、富士通は同日ベッド数が50~150床の中堅病院向けの「HOPE/EGMAIN-NX」の出荷を開始。Webベースではないが、早ければ3カ月ほどの短期間で構築できる。また、ミドルウエアまで自社で作りこんでいるため、「ミドルウエアを別に購入する必要がなく、コストが安くなる」(ヘルスケアソリューション事業本部山路雄一副本部長)と自信を見せる。

 価格は、HOPE/EGMAIN-EX WebEditionが1億2600万円から、HOPE/EGMAIN-NXが6300万円から。富士通は、今後3年間でHOPE/EGMAIN-EX WebEditionで50システム150億円、HOPE/EGMAIN-NXで200システム100億円という販売目標を設定している。

安藤 正芳=日経コンピュータ