米IBMは6月30日、銀行向けの次世代勘定系システム構築ソリューション「IBMコア・システム・トランスフォーメーション」を発表した。日本IBMが開発したJ2EE準拠のオープン勘定系システム「NEFSS」を中核に、サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づく銀行システムを構築する。世界規模で銀行の競争が激化するなか、顧客のニーズに応じたきめ細かい金融商品/サービスの迅速な提供を目指す銀行に売り込む。

 日本IBMのNEFSSは、これまでの勘定系システムのように口座単位で預金の残高を管理するのでなく、顧客単位で普通預金や定期預金、投資信託商品など複数の口座の残高を、まとめて管理できるのが特徴だ。これにより、例えば「普通預金と投資信託商品の残高が100万円以上の顧客には、外貨預金の金利を0.1%上乗せするといった優遇サービスをきめ細かく設定できる」(日本IBMの森田青志金融システム事業部第一ソリューション営業部部長)。

 NEFSSは大きく、業務コンポーネントと銀行向けシステム基盤の二つからなる。預金や為替など標準的な業務コンポーネントとして、米フィデリティ・インフォメーション・サービスの勘定系パッケージ「Corebank」を提供。顧客が独自の業務コンポーネントをJavaで構築することも可能だ。

 システム基盤は、銀行の勘定系システムに必要な信頼性や可用性を確保する役割を持つミドルウエア。J2EEに準拠したNEFSSの動作環境として、IBMはWebアプリケーション・サーバー「WebSphere」を用意する。WebSphereには備わっていない、銀行特有のトランザクション制御機能や信頼性・可用性を向上させる機能を備えるのが、NEFSSのシステム基盤というわけだ。

 日本では2003年10月に、日本IBMがNEFSSを発表済み。「次世代銀行システムの大本命製品」(森田部長)として、全国の金融機関に販売攻勢をかけている。昨年10月には、スルガ銀行が同製品の採用を発表。現在はさらに「邦銀で1社、銀行以外の金融機関で1社、スルガ銀行を含めて合計3件の受注を獲得している」(同)。この6月に、NEFSSの開発が完了したのを受け、米IBMがNEFSSの世界展開を表明した。

大和田 尚孝=日経コンピュータ