東京大学とサン・マイクロシステムズ日本法人は6月20日、IT分野の共同研究推進に向けた協定書を締結したと発表した。2006年4月以降、サンが毎年数億円をプロジェクトの研究資金として拠出するほか、同社の研究者を東京大学に派遣したり、東大の研究者を米本社の研究所に受け入れる。3、4件の研究テーマを選定する予定で、スーパーコンピュータや情報セキュリティ、分散ストレージなどを候補に挙げている。

 具体的な研究テーマは、東京大学が昨年4月から開始した「Proprius21(プロプリウス21)」と呼ぶ産学連携スキームに沿って決める。2006年3月までにテーマや資金、参加メンバーなどを詰める。Proprius21は、従来の産学共同研究制度から、研究計画の作成段階を独立させたもの。共同研究の期間についても、2006年3月までに決める。

 東京大学副学長で、産学連携本部長の石川正俊氏はサンと提携した目的を、「海外では東京大学のプレゼンスは高くない。研究成果が広く世界で使われることを目指すため」とした。一方、協定締結からプロジェクト開始まで半年以上期間があることに対しては、「従来の産学共同研究では、どのような成果を出し、どう応用するか、十分に煮詰めないまま始めてしまうことが多かった。企業にとってのメリットも見えにくかった」としている。

本間 純=日経コンピュータ