「BI(ビジネス・インテリジェンス)を取り入れようとする企業の大半は、どのソフトウエアを利用しようかといった製品の選定から始める。しかし、これは間違っている」。SASインターナショナル戦略担当シニア・バイス・プレジデントのアラン・ラッセル氏は話す。SASインターナショナルは、データを多面的に分析するBIソフトの開発・販売をする米SASインスティチュートの一部門で、アジア太平洋、ヨーロッパ、中東・アフリカを統括している。

 ラッセル氏は、「BIを導入するうえで重要なのは、利用者である社員への訴求。BIがビジネス上どういったメリットをもたらすのか、分析したデータをどう活用すべきなのか、といったことを教えることから始めなければならない」と強調する。「そうすれば、多くの社員がBIを利用できるようになり、BIソフトのROI(投資対効果)が高くなっていく」(ラッセル氏)。

 これまでBIソフトは、社内でも統計学などの知識を持った一部の社員が利用する程度にとどまってた。加えて、部署ごとに必要に応じて異なるBIソフトを購入することが多かった。このため、「BIソフトの導入効果が十分に上がっていなかった」とラッセル氏は分析する。

 そこで同氏は、社内教育と社内のBIソフト標準化の重要性を訴える。BIソフトの標準化という点では、SASは顧客に対して、社内のBIソフトを標準化する「エンタープライズ・インテリジェンス・プラットフォーム」という考え方を提案している。そのために同社は、データ統合ソフトから、分析ソフト、分析結果を配布するレポーティング・ソフトなどを用意している。ラッセル氏は、「こうしたソフトを個別にではなく、まとめて顧客に提案し、BIソフトの標準化に力を入れていきたい」と話す。

島田 優子=日経コンピュータ