「統計によると、米国で企業改革法(サーベンス・オックスリー法=SOX法)対策をした企業は、1000万ドル以上を対策費としてかけている。ただし、これは初年度の費用であり、その後も対策費は増えていく」。こう語るのは、カナダの文書管理ソフト・ベンダー、オープンテキストのCEO(最高経営責任者)トム・ジェンキンス氏である。ジェンキンス氏が、コストの増加要因として挙げるのが、企業の電子的な文書の増加である。

 ジェンキンス氏は、「電子メールやWordで作成した文書も内部統制を証明するための文書の一つ。その証拠に、電子メールが法律的にも公式な文書として認められるようになってきている。紙の文書よりも電子文書が増える中、SOX法対策を実施する企業にとって電子文書の管理のコストはかなり大きい」と指摘する。さらに、「SOX法対策のために文書を保存するには、単にストレージの容量を増やせば良いだけではない。すべての文書について、誰が作成し、閲覧し、改変したかを管理しなければならない」とジェンキンス氏は加える。

 オープンテキストは、ECM(エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント)と呼ぶ、文書の生成から補完、破棄までを一元的に管理する考え方を提唱。文書管理ソフト「Livelink」を開発している。2004年に独イキソスソフトウェアを買収。日本では、今年6月1日にイキソスソフトウェアの日本法人もオープンテキストとなった。イキソスソフトウェアのアーカイブ・ソフトも「Livelink」シリーズに統合する。

 ジェンキンス氏は、「文書管理ソフトのベンダーのCEOとして、SOX法対策に文書管理ソフトが重要と主張しているわけではない」とする。「当社もNASDAQ上場企業であり、私自身がCEOとしてSOX法対策の苦労を知っている。今後、SOX法対策費用を抑えるためにも、文書管理のIT化は欠かせないと思っている」。

 SOX法は米国のニューヨーク証券取引所(NYSE)やNASDAQに上場している企業に、適正な財務諸表の開示を求める法律。SOX法を順守するためには、財務諸表が適正であるためには、内部統制ができているかどうかを証明する必要がある。そのためには、社内文書の保存や、保存した文書を追跡できる体制作りが必要となる。日本企業でもNYSEやNASDAQに上場している企業はSOX法対策が迫られているほか、金融庁が現在、日本版「SOX法」の制定を検討している。

島田 優子=日経コンピュータ