◆サーバー戦略の注力ポイントは何か
 今年はサーバーのプロセサが、32ビットのx86プロセサから64ビットのx64プロセサへ本格的に移行する年だ。今夏から冬にかけて、サーバー関連の新製品を続けて投入し、64ビット環境への移行を促す。具体例を挙げれば、SCSIの後継技術である「SAS(Serial Attached SCSI)」対応ディスクを内蔵したPCサーバーを、他社に先駆けて出荷する。

 SASは、ファイバ・チャネルを上回る3Gビット/秒の高速データ転送が可能で、かつ高い信頼性を持つ。64ビット環境では、一度に大量のデータをメモリー上に展開できるようになるため、ディスク入出力がボトルネックになる。SASにより、システム全体のパフォーマンス向上が期待できる。2006年には、全サーバーにSAS対応ストレージを標準搭載できるようにする。

◆SASは業界標準技術。他社もすぐに追従する
 業界標準を採用することは、技術開発を怠ることと同義ではない。業界標準技術をいち早く製品化できるかどうかも技術力の違いの表れだ。業界標準技術を取り込んだ幅広い製品ラインナップを用意すれば、顧客は多様な選択肢を得られる。業界標準を前提に当社は、ブレード・サーバーに注力することで差異化を図る。今夏には、デュアル・コアのAMD OpteronとEM64T対応のIntel Xeonを混載できるブレード・サーバーを出荷する。

 加えて、仮想マシン管理ソフト「Virtual Machine Manager(VMM)」も強力な武器になる。VMMは当社のPCサーバー管理ソフト「Systems Insight Manager(SIM)」のオプションで、ハードだけでなく他社の仮想化ソフトの起動や停止を制御できる。これらにより、現在、日本における当社のサーバー・シェアは2位にとどまっているが、2005年中には出荷台数でも金額でも1位を取る。

◆仮想化ソフトは武器になるのか
 顧客はサーバー資源をより効率的に利用することを望んでいる。それには仮想化ソフトが重要な鍵を握る。ある調査結果によれば、現在、多くのユーザーは1台のサーバーで一つアプリケーションを稼働させているケースがほとんどで、サーバーの処理能力のわずか20%ほどしか使っていない。仮想化ソフトを利用すれば、1台のサーバー上で複数のアプリケーションを稼働させられるため、サーバーの稼働率を高められるし、運用管理も容易になる。

玉置 亮太=日経コンピュータ