米カーネギーメロン大学(CMU)(ペンシルバニア州ピッツバーグ)は兵庫県と提携し、神戸市内に情報セキュリティ分野に特化する「カーネギーメロン大学日本校」を6月7日に開校した。同校を卒業すると、米CMU大学院修士の学位「MSIT-IS(Master of Science in Information Technology -Information Security)」を取得できる。

 CMU日本校が実際に授業を始めるのは9月から。履修期間は、4カ月を1学期とした1年4カ月(4学期)で、情報セキュリティ技術のほか、プライバシやリスク管理などに関する科目も開講する。日本校のカリキュラムは基本的に、CMU情報ネットワーキング研究所のカリキュラムや教材と同じで、CMUの講師が英語で教える。一部の科目はCMU大学が開発したビデオ会議システムを使って、米ピッツバーグから授業する。そのほかに、情報セキュリティ監査や法制度など日本独自の科目を追加する。

 日本校は7月29日まで入学願書を受け付ける。1学年の定員は20人。学部卒でIT関連の知識を要し、米国大学院への留学が可能なレベルの英語力を有することが条件。TI業界で2年以上の勤務経験があればなお可、としている。授業料は1学期が1万5800ドル、技術料が1学期あたり100ドル。ほかに実費の教材費がかかる。奨学金制度を用意する。

 6月7日の開校式典に来日したCMUのジャレッド・コーン学長(写真)は席上、「情報セキュリティ分野でリーダーになる人材を育てたい」と意気込みを語った。共同設立者である兵庫県の井戸 敏三知事は、「社会基盤と言える情報システムを適切に運用するには、情報セキュリティ分野の人材育成が必要だが、日本には同分野の技術者が少ない。神戸が日本の、ひいてはアジアの情報セキュリティの中心地になれば」と期待を語った。

 CMUは、コンピュータ科学やロボット工学といった技術分野において世界有数の大学。1988年に、不正アクセスやセキュリティ・ホールに関する情報を集める団体「CERT Coordination Center」を学内に設立したことでも知られる。同大学における情報技術分野の研究・教育機関は「CyLab」と呼ばれ、日本校は「CyLab Japan」と呼ぶことになる。既に、「日本国内だけでなく、他のアジア諸国からも出願書類が届いている」(コーン学長)という。

福田 崇男=日経コンピュータ