Webアプリケーション開発の新手法「Ajax」を使った商用ソフトが登場する。ベンチャー企業のかっぺが開発した電子メール・ソフト「Mail Drive Secure Post System(MDSPS)である(写真[拡大表示])。Webブラウザ上に受信メールの一覧やメール本文を表示し、メールを送受信できる。出荷開始は7月。価格は1メール・アドレス当たり月額100円。

 MDSPSの最大の特徴は、Ajaxを使って、WebブラウザでOutlook Expressなどの専用メール・ソフトと同等の使い勝手を実現したこと。例えば、メール一覧からマウスでメール件名をクリックすると、画面を読み込むことなく即座にメールを表示する。既存のWebメールは、メール件名をクリックしたり次のメール一覧を表示したりするときに、そのつどメールのデータをHTML形式で読み込んで画面が書き換わるのを待たなければならなかった。

 かっぺの川崎有亮 取締役副社長は、開発の動機をこう語る。「個人情報保護法対策で、社員が持ち歩くノート・パソコンにメールのデータを残したくない企業にとって、電子メールのクライアント・ソフトにはWebブラウザくらいしか選択肢がなかった。しかし専用のメール・ソフトに比べて、Webメールの使い勝手は確実に劣る。Ajaxを使うことで、Webメールは使いづらいという認識を覆すことを期待している」。

 AjaxとはJavaScriptやXMLを使ってWebブラウザをWebサーバーと非同期通信させ,Webページを読み込むことなく画面表示を変更する手法。Webブラウザでもデスクトップ型アプリケーションと同じ使い勝手を実現できる。米グーグルが自社のサービスに採用するなどして、注目を集めている。

玉置 亮太=日経コンピュータ

【お知らせ】

上記記事中には「価格は1メール・アドレス当たり月額100円」とありますが、かっぺ社から「その後、価格体系の見直しを決めた。現時点では、価格未定」との連絡がありました。