大阪証券取引所は5月26日、ヘラクレス市場への新規上場申請を凍結すると発表した。新規上場を凍結することで、株式売買の注文件数の増加を抑える。

 大証ヘラクレス市場では、株式売買数の増加によって、株価配信情報や約定処理に遅延が生じている。株価情報配信には1、2分の遅延が、証券会社によっては、約定処理の遅延は10分以上に達することもあるという。株価情報配信や約定処理が遅延する原因は、注文件数の増加である。既存の売買システムでは、現在の注文を迅速に処理しきれなくなっていた。大証の広報IRグループは、「昨年12月に比べて、今年4月の注文件数は2.5倍に増加している」と話す。

 大証では、昨年4月にもプライムシステムの株取引の急増が原因で、約定成立に遅延が生じた。大証はシステムの処理能力を向上させるため、2004年4月と11月の二度にわたってプロセサのアップグレードやファイル容量の拡大、プログラムの修正を実施してきた。だがそれでも、今年に入ってからの注文の増加には対応できなかった。すでに大証は、売買が集中する銘柄については、通常の取引時間中でも、注文が集中する市場の開始時や終了時と同じ売買成立方法を採るなどの手を打ってきたが、遅延が解消しないため、新規上場申請の凍結に踏み切った。

 上場申請の受付再開は、今年11月頃を予定している。これは、ヘラクレスの新売買処理システムが2006年1月に完成することを受けてのものだ。大証は現在、110億円をかけて売買システムと精算システムの再構築を進めている。

(中村 建助=日経コンピュータ)