Linuxディストリビュータのミラクル・リナックスは5月24日、日本ストラタステクノロジーの無停止型(FT)サーバーに「MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside」をインストールして年内にも販売を開始すると発表した。ミラクル・リナックスの佐藤武社長は、「最近IP電話の影響などで拡大するミッション・クリティカルなテレコムのマーケット中心に売り込む」と意気込む。

 MIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Insideは、7月22日にリリースが予定されている「Asianux 2.0」のコンポーネントを中心にミラクル・リナックスが日本ストラタスの「ftServerシリーズ」向けにカスタマイズしたもの。同社では初めてカーネル2.6系を採用し、RAS(信頼性、可用性、保守性)を強化。日本語、中国語、韓国語といったアジア圏の言語に対応する。文字コードはデフォルトでUTF-8だが、EUCやSJISも利用できる。デスクトップ環境は中国のRed FlagがKDEを基に開発した「ReFineD」を採用する。

 一方、ftServerはIAサーバーながら、「ロックステップテクノロジー」と呼ばれるCPUボード(CPU、メモリー、電源を搭載)が二重化され、2つのCPUが同一命令を同じタイミングで実行する。ソフトウエアからはCPUが1つに見え、複数ノードを考慮してアプリケーションをつくらなくてもよい。また、日本ストラタスは昨年の3月から独自仕様のLinuxを提供していたが、平行してMIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Inside搭載モデルを販売していく。「オラクルなどのデータ・ベースの稼働実績が豊富なミラクル・リナックスを取り入れて日本市場の拡大を狙う」(日本ストラタス長井正利社長)という。

 価格は未定だが、ftServerの価格にミラクル・リナックスのOSを含んだ価格になる予定。ftServerは約200万円から数千万円。OSはftServer専用にMIRACLE LINUX V4.0 - Asianux Insideをカスタマイズするため、現行の価格より若干高めになる。販売やサポートは日本ストラタスが窓口となる。

安藤 正芳=日経コンピュータ