日立製作所は5月23日、情報漏洩を防ぐためにハードディスクを取り外したパソコン(ディスクレスPC)2機種と、クライアントを集中管理するブレードPC1機種を発表した。2月15日に発表したノート型のディスクレスPCは社外での利用を想定していたが、今回は社内利用を想定した製品である。いずれも、同社のセキュリティ・サービス「セキュアクライアントソリューション」のクライアントとして提供する。

 セキュアクライアントソリューションは、ユーザーにはディスクレスPCを使わせることで情報の漏洩を防ぐ。業務アプリケーションは社内の通常のパソコンで動かし、ディスクレスPCがネットワーク経由で遠隔利用する形だ。業務アプリケーションを動かすパソコンは「ホスト端末」と呼び、ホスト端末だけを管理すればいい。

 今回発表したディスクレスPCは、液晶ディスプレイ一体型のデスクトップ機「FLORA Se310」と、A4サイズのノート型の「同Se270」。価格と出荷時期はそれぞれ、13万200円/7月15日、13万5450円/8月9日である。ただし、Mc-EX(モバイルコマース拡張)規格のICカードを使った認証装置「KeyMobile」をUSB接続し、ユーザー認証を行うことを必須としており、実際の購入ではKeyMobileの価格を上乗せして考える必要がある。

 ブレードPCの製品名は、「FLORA bd100」(写真)。ブレードPCとは、プロセサ、メモリー、ハードディスクといったパソコン本体の構成部品をブレード状のボードに搭載したものである。ブレードPCをホスト端末として利用すれば、ホスト端末をデータ・センターで一括管理しやすくなる。

 FLORA bd100は、1枚のブレードにCeleron M(1.4GHz)、512Mバイトのメモリー、40Gバイトのハードディスクを搭載。OSはマイクロソフトがブレードPC向けに提供する「WindowsXP Proffessional Blade PC Edition」を使う。3Uサイズのシャーシに最大14枚のブレードを搭載できる。価格は、ブレード1枚当たり13万5975円、シャーシが21万円で、ともに6月3日から出荷開始する。

 日立製作所は昨年末、社内に約100台のディスクレスPCを導入。今年3月には2000台を導入し、社内利用者の要望を聞いて改善してきた。「社内展開時の課題をフィードバックし、画面情報の減色を見直すなどで通信帯域を約3割削減して、レスポンス向上を図った」(プラットフォーム事業部の松縄正人事業部長)という。

 年内には、従来のB5ノート型ディスクレスPC「FLORA Se210」に静脈認証機器を取り付けたモデルや、6万円程度と、より低価格なデスクトップ型の「FLORA Se330」を出荷する予定である。

安藤 正芳=日経コンピュータ