グリッド・コンピューティング関連技術の業務システムへの活用を促進する手引きとなる「EGA参照モデル」が登場した。業界団体のEGA(Enterprise Grid Alliance)が作成し、5月11日に公開した。参照モデルはEGAのサイトで入手できる。

 EGA参照モデルは3種類の内容からなる。(1)グリッド技術の「用語集」、(2)グリッドを構成するために必要な要素を図式化した「モデル」、(3)グリッド技術の利用実例を示す「利用ケース」だ。EGA日本運営委員会の議長を務める、日本オラクルの鈴木俊宏スタンダード&アーキテクトグループ担当ディレクターは「ユーザー企業がこのモデルを参考にしてシステムを構築できるようになるほか、業界内でグリッド技術に関するコンセンサスが取れるようになる」とメリットを語る。これまで、一口にグリッドと言っても、ベンダー各社で定義が微妙に異なっていた。

 ただし、今回公開した参照モデルはまだ足りない部分がある。例えば利用ケースに記述されているのは、そのほとんどがプロビジョニング(初期設定の自動化)に関するもの。実際の処理を実行するノードの稼働状況監視や、ノードの利用停止については、詳細な記述がない。これについてEGA日本運営委員会のメンバーである日本ヒューレット・パッカードの阿部恵史ソフトウェア・マーケティング部プロダクト・スペシャリストは「今後12カ月の期間の間に、参照モデルの次期バージョンを策定する。その中ではより詳細な利用ケースを増やしていく」と説明する。

矢口 竜太郎=日経コンピュータ