NECは4月25日、シンクライアントを使ったシステム構築・運用サービス「クライアント統合ソリューション」を発表した。最大の特徴は、「仮想PC型」と呼ぶ独自の形態でシンクライアント環境を構築できること。藤岡忠昭マーケティング推進本部長は、「来年には、当社が構築を手がけるサーバー・クライアント型システムのうち10%以上に、このソリューションを適用していく」と目標を語った。

 NECがその牽引車として期待する「仮想PC型」では、サーバーのリソースを複数区画に分割し、各区画を1台1台の専用シンクライアント端末(同時発表の「TC-Station」)に割り当てる。各区画では、端末ごとのOSやアプリケーションを動かす。端末とサーバーの各区画の間は、Windows XPのリモート・デスクトップ機能と同じプロトコルを使って、入力や画面表示を行う。ユーザーの手元には専用のシンクライアント端末と、ディスプレイ、キーボード、マウスといった必要最低限な入出力装置だけを置く。端末側には、OSやアプリケーションだけでなく、データも置かないため、「仮に端末を盗まれても、情報が漏れることはない」(藤岡本部長)という。

 仮想PC型のもう一つのメリットは、シンクライントの作業負荷によって、各区画のリソースを動的に配分できること。サーバーのリソースを効率的に使えるので、「TCOの削減につながる」(藤岡本部長)。サーバーの区画分割には、NEC製ミドルウエア「Virtual PC Center」を使う。

 「仮想PC型」に加えて、NECは、「ネットブート型」と「画像転送型」とそれぞれ呼ぶ形態のシンクライアント環境構築サービスも提供する。ネットブート型は、サーバーに格納した、各クライアントのOSとアプリケーションを利用時にシンクライアントにダウンロードして、動かすもの。利用後には、OSとアプリケーションはシンクライアントから削除する。アーデンスのシンクライアント環境構築ミドルウエア「Ardence」を使って実現する。シンクライアント端末には、こちらも同時に発表した専用端末「Express5800/51Lc」を使う。

 最後の画像転送型は、シトリックス・システムズ・ジャパンのミドルウエア「MetaFrame」を使ったもの。新たに、サン・マイクロシステムズの「Sun Ray」を端末に使うシステムも提案する。

 クライアント統合ソリューションの料金は、100クライアント端末規模のシステムで約2000万円(サーバー、ミドルウエア、シンクライアント端末を含む)から。TC-Stationは5万7750円、Express5800/51Lcは7万3290円(最小構成)で単体販売する。

安藤 正芳=日経コンピュータ