新光証券は、債券取引の注文から約定処理までを一貫してリアルタイム処理するシステムを構築した。JMS(Javaの非同期メッセージ交換サービス)を使い、複数のシステムにまたがるデータを即座にやり取りでき、精密な収益管理が可能になる。「同業他社でも、債券業務はまだ紙の伝票でやり取りすることが多い。新システムによって、証券業界の中で最先端のシステムになった」(IT戦略部の松岡賢一ITソリューション課長)という。

 従来、債券取引の注文を受けるトレーダーと、市場で取引するディーラーとの間で情報を連携するには、紙ベースの伝票でやり取りしていた。取引内容についての法的チェックが遅れることもあり、注文が成立しない場合があった。しかも勘定系システムとの連携は、1日1回バッチ処理していたため、トレーダーは取引が成立したかどうかを把握するのが難しかった。

 新システムは、債券取引の注文が来た時点でデータを入力すると、法的チェックや勘定系システムにデータを転送し約定処理まで一連の債券業務のフローをシステム上で実行する。トレーダーとディーラーが同時に情報を共有できるだけでなく、取引状況を一元的に管理することで、注文単位でリスクや損益情報を更新できる。

 システムには、シンプレクス・テクノロジーのパッケージ商品「債券統合ディーリングシステム」を採用。構築費用は、「10億円以下に抑えることができた」(松岡氏)。

岡本 藍=日経コンピュータ