1990年代前半、一世を風靡したネットワークOS「NetWare」の名称がついに消える。開発元のノベルが4月14日、LinuxにNetWare相当のネットワークOS機能を付加した製品「SUSE Open Enterprise Server(OES)」を発表したからだ。今後、NetWareの遺伝子は、Linuxに引き継がれることになる。

 NetWareは信頼性と処理性能の高さが評価され、日本のオフィスにLANを普及させる原動力となった。対抗してマイクロソフトが93年に投入したWindows NTを、当初はまったく寄せ付けなかったほどだ。だが、特に97年のNT4.0、2000年のWindows2000と、マイクロソフト製品が成熟度を増すに伴って、徐々に市場で劣勢に追い込まれ、ここ数年はほとんど存在感がなかった。

 そこでノベルは、同社のサーバ向けLinux「SUSE Linux Enterprise Server9」にNetWareのユーザー管理機能(ディレクトリ・サービス機能)を移植した。Linuxでポリシー・ベースのユーザー管理や、ファイル単位のきめ細かいアクセス制御ができる。Webブラウザ・ベースの管理ツールも提供する(図)。NetWare3.1のテキスト・ベースの管理画面を慣れた目には、隔世の感があるだろう。

 まずはNetWareユーザーの移行を狙う。既存のNetWare(4版以降)のユーザー設定などをOESに引き継ぐための移行ツールや、既存のNetWare環境やマイクロソフトのActiveDirectory環境と、ユーザー管理情報を同期させるツールも用意する。

 さらに今後、Linuxを社内に大規模展開するユーザーにも売り込む。「Linuxの利用が増えるに伴って、ユーザー管理機能のニーズは高まるはず。サポート面の安心感などを前面に押し出して、拡販を進める」(プロダクトマーケティングマネージャの飯田敏樹氏)。

 OESの出荷開始は5月23日。価格はオープンだが、推定小売価格は1サーバー当たり68万2500円(税込み)。「金額ベースで国内Linux市場の2%程度のシェアを目指す」(飯田氏)。なお、ノベルは現行版NetWare(6.5版)の販売も継続する。

星野 友彦=日経コンピュータ