大阪市の高級ホテル、ハイアット・リージェンシー・オーサカは4月13日、無線LANと無線IP電話システムを導入したと発表した。接客や客室清掃などの業務の効率化を図り、年間約4800時間、人件費に換算して約960万円分の業務を削減する。既に20台の無線IP電話を利用しており、年内に80台を導入する予定だ。

 無線IP電話は、従業員間の連絡に利用する。これまではページャーと固定電話を使ってきたが、連絡を取りたい担当者と話せるまでに20秒程度かかっていた。これを無線IP電話に置き換えることで5秒程度に短縮する。無線LAN対応の携帯情報端末(PDA)からイントラネットにアクセスし、イベント情報やVIPの宿泊予定などをいつでも参照できるようにすることで、接客の質的向上を図る。

 無線IP電話端末には、日立電線の「WirelessIP5000」のほか、日本ヒューレット・パッカードが販売する無線LAN対応のPDA「HP iPaq Pocket PC」を使い、PDAにはソフトフォン(電話機能を実現するソフトウエア)を搭載する。アクセス・ポイントは館内に149カ所設置した。IP電話回線には、フュージョン・コミュニケーションズのIPセントレックス・サービスを採用した。既存の固定電話機やPBXは当面維持する。現在のIP電話ではホテル固有の交換業務などへの対応が難しいためという。

 ハイアットの無線LAN導入は、野村総合研究所とインテル日本法人が大阪市などの協力を得て進める「DigitalCity OSAKA プロジェクト」の一環。システム構築は主に両社が担当した。両社は今後、南港コスモスクエア地区で順次、公衆無線LANサービスを利用できるようにする。

本間 純=日経コンピュータ