IEEE802.11a(5GHz)無線LAN機器が利用する周波数が変更される。この結果、新旧チャネル対応製品が相互接続できなくなることに対し、電波監理審議会は4月13日、新チャネル対応のクライアント製品に、新旧両チャネルの混在利用を可能にする機能の追加を認める答申を出した。これを受けて総務省は5月中旬の省令改正に盛り込むことになる。

 新チャネルと旧チャネルでは周波数が10MHzずつずれるため、新旧チャネル対応製品はそのままでは相互に接続できない。旧チャネル製品の継続利用は認められるので、会社や公衆無線LANサービスで、旧チャネル仕様のアクセス・ポイントを利用する必要があるユーザーは、新チャネル仕様のクライアント製品に移行したくてもできないという問題が指摘されていた。

 今回認められた機能は、新チャネル対応のクライアントが、旧チャネル利用のアクセス・ポイントが発信する電波を感知した場合だけ、旧チャネルを利用する「パッシブ・スキャン」と呼ばれる方式。ファームウエア・アップデートなどで現行製品を新チャネル対応にした場合でもパッシブ・スキャンは搭載できる。しかし、新たに追加された5.25G~5.35GHzの4チャネルは使えるようにならない。また、パッシブ・スキャン機能が利用できるのは「省令改正後おそらく数年間」(総務省総合通信基盤局電波部基幹通信課の佐々木係長)の期間限定になる。

 今回の答申について無線LAN機器メーカーは「これで新チャネル対応製品の出荷をためらう理由はなくなった」(NECで企業向け無線LAN製品を担当するブロードバンドプロダクト推進本部の森山淳統括マネージャ)と歓迎ムードだ。

 各メーカーは現行製品を新チャネルに対応させる移行措置を用意する方針だ。例えば、NECは「企業向け無線LAN製品では、保守契約の範疇で対応する予定」(森山統括マネージャ)という。5月の省令改正以降、新チャネルに完全対応し、8チャネル全部が使える802.11a無線LANの新製品が続々と登場しそうだ。

山田 剛良=日経コンピュータ