「米インテルの64ビットプロセサのうち、Itanium2は高い浮動小数点演算機能が要求される分野に限定され、その他の分野はx86アーキテクチャが発展した64ビット版Xeonが主流になる」。

 デルの多田和之エンタープライズマーケティング部ソリューション本部長は4月11日、64ビット版Xeonプロセサを搭載した、同社にとっての最上位サーバー「PowerEdge6800/6850」の発表会見でこう断言した。

 現在、富士通や日立製作所、NECなどの国産メーカーは、Itanium2を搭載したハイエンド・サーバーを販売している。名指しこそしていないが、多田氏の発言はこれら国産メーカーの戦略を完全に否定するものだ。

 多田氏はさらに、「他のベンダーにはそれぞれの意見があるのだろうが、当社は複数台のサーバーで処理を分担するスケールアウトの戦略を押し進めて、業務アプリケーションに対するユーザーのニーズにこたえていく」とする。

 64ビット版Xeonを最大で4個しか搭載できないサーバーを組み合わせるだけで大規模な業務アプリケーションを処理できるかどうかという疑問に対して、多田氏は「デルにはプロフェッショナル・サービスの専門部隊がおり、そのシステムの最適のアーキテクチャがどうあるべきかを考えることができる。既存のシステムをそのままで移行させるわけではない。うまく載せ変えることができれば、スケールアウトの考えで構築したシステムに移行できる」と反論する。

 PowerEdge6800/6850で、デルはUNIXサーバーの強いデータベース・サーバーやアプリケーション・サーバーの分野を攻略する。多田氏は、「これらの新製品によって、4プロセサを搭載する当社のサーバー製品の売り上げを2倍に増加させるのが目標だ」と話す。

 なお、今回デルが発表したパソコン・サーバーは、タワー型の「PowerEdge 6800」と4U(1U=約44.5mm)サイズのラックマウント型サーバー「同6850」の2機種である。

 両製品とも稼働中に主要部品を交換できるホット・スワップ機能を強化した。「6800」はファン、NIC、電源、ハードディスクの交換が可能。「6850」はこれらに加え、メモリー、PCI拡張カードも稼働中に交換できる。ハードウエアに障害が起きても業務が継続できる特性を生かして、ミッション・クリティカルな基幹システム用に売り込む。

 また、デルは今回から、標準添付の管理ソフトウエア「OpenManage」を新バージョンの4.3に切り替えた。同ソフトウエアは遠隔地からサーバー管理や運用を支援する機能を持つ。新版ではデルのWebサイトから、最新のBIOSやドライバ情報を取得できるようになった。

 「6800」、「6850」ともにプロセサは動作周波数が3.16G/3.66GHz(1MB L2キャッシュ)、3.00G/3.33GHz(8MB L3キャッシュ)のXeon MPを1~4個搭載可能。メモリーは1G~32GB。ハードディスクは「6800」が32GB~3.6TB、「6850」が32GB~1.5TB。OSはWindowsかRed Hat Enterprise Linux 3。

 最小構成価格は「PowerEdge 6800」が71万1900円から。「同6850」が79万650円から。

(中村 建助、広岡 延隆=日経コンピュータ)