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 日本アボセントは4月7日、パソコン本体とモニター、キーボード、マウスの間のケーブルをLANケーブルに置き換えて延長する製品群「PCIバスエクステンションソリューション」の出荷を開始した。同製品を使ってパソコン本体をサーバー・ルームに設置すれば、データが漏洩するリスクを減らせる。金融機関のディーラやコールセンター向けに売り込む考えだ。

専用端末 この製品は、ユーザーの手元に置く専用端末(写真上)と、サーバー・ルームに置いたパソコン本体に装着するPCIカード(写真下)から構成する。PCIカードと専用端末を最大100mのLANケーブル(カテゴリ5、5e、6)で接続。ユーザーは専用端末にキーボード、マウス、スピーカなどを接続して利用する。

PCIカード レイヤー2のギガビット・スイッチを利用すれば、100mのLANケーブルを2本利用することでパソコン本体と専用端末の距離を最大200mまで延ばせる。ただし、LANケーブルは使うものの、専用端末とパソコン本体は直接接続する必要があり、ネットワークを社内LANと共有することはできない。ネットワークのオーバーヘッドが少ないため、動画やCADといった負荷の高い描画処理もスムーズに実行できるという。

 PCIバスエクステンションソリューションの類似商品には、米クリアキューブなどが提供するブレードPCがある。ブレードPCはサーバー・ルームにブレード型パソコンを置くのに対し、PCIバスエクステンションソリューションでは通常のパソコンを置く点が大きく異なる。日本アボセントの関根光次ジェネラル・マネージャーは、「当社の製品は、パソコンにPCIカードを増設する必要があるので、10台程度の小規模利用が前提。これに対しブレードPCは、50~100台以上といった大規模な利用でないと、投資対効果を考えると採用が難しい」と話す。

 同製品は、日本アボセントのパートナーを通じて販売する。参考価格は、専用端末の「DDS2030-105」が9万4500円。モニターを2台接続できる「DDS2050-105」が11万8650円。専用端末側にPCIスロットを一つ備える「DDL2050-105」が13万7550円。パソコン本体に取り付けるPCIカード「DDP2000」が2万8500円。なお日本アボセントは、複数台のコンピュータを切り替えながらキーボードやマウス、モニターを利用できるようにするKVMスイッチと呼ぶ製品の開発・製造を手がける。

広岡 延隆=日経コンピュータ