「Webサイトを訪れる顧客を知るためには、Webサーバーのログでは不十分だ」と、Web行動解析ツールのベンダーであるオーリック・システムズの幾留(いくどめ) 浩一郎代表取締役は強調する。「アクセス・ログに記録される内容は限られる。例えば、顧客がサーバーにどんなデータを送ったかまでは記録されない。このため、ログ解析を断念するEC(電子商取引)などが増えている」。

 Web行動解析ツールとは、サイトの改善やマーケティングを目的に、Webサイトにアクセスしたユーザーの行動を分析するためのツール。ECサイトや企業の公式Webサイトなどで多く利用されている。オーリック・システムズが提供するのは、アプライアンス型のWeb行動解析ツール「RTMetrics」。ログ解析ツールと違って、より詳細に顧客の行動を解析できる。

 RTMetricsの特徴は、Webサーバーが送受信しているパケットを監視して、その内容から顧客の行動を分析する点。Webサーバーを接続したスイッチのミラー・ポートにRTMetricsを接続することでパケットを収集する。Webサーバーのログには記録されない情報も取得可能だ。こうした点が受けて、「過去にログ解析ツールで行動分析に取りくんだものの効果が上がらなかったECサイトなどが、当社製品を使って再度取り組み始めている」という。

 RTMetricsには、複数のWebサーバーで分散処理している場合でも、1つのWebサイトとして一括して行動分析できるというメリットもある。「複数のWebサーバーで負荷を分散しているWebサイトでは、個々のサーバーのログをマージしなくてはならず、現実的ではない」と幾留代表は指摘する。

福田 崇男=日経コンピュータ