NECと米サン・マイクロシステムズは4月5日、システム・インテグレーション(SI)分野を含む戦略提携の拡大を発表した。都内で会見したNECの金杉明信社長(写真右)は、「両社の提携関係をこれまでのプロダクト・ベースの協業から、ソリューション、SIビジネス・ベースの戦略的協業に拡大する」と狙いを語る。サンのスコット・マクニーリ会長兼CEO(写真右)も「NECのミドウウエアとサンのJava技術の組み合わせにより、補完的でパワフルなソリューションを顧客に提供できる」と力説した。

 両社の提携の舞台となるのは、主に海外向けのSIビジネス。NECは海外の通信事業者などに、サンのサーバーやソフト製品を使ったシステムを売り込む。すでに日本のiモードに相当するサービスを実現するソリューション製品「NEMIP」を、スペイン、フランス、イタリアなど8カ国8事業者に売り込んだ実績があるという。

 NECは、「プロダクトに特化するサンのほうが、ビジネスの最前線で協業しやすい」(川村敏郎執行役員副社長)と考え、サンとの提携拡大に踏み切った。今後、グローバルSIビジネスのメイン・パートナーを米ヒューレット・パッカード(HP)から、サンに移す。

 NECはこれまで国内外のSIビジネスで、HP製サーバーを主に利用。2002年5月にはグローバルSIビジネスでHPと提携していた。しかし、HPは自らがサービス・ビジネスを手がけていることもあり、商談で競合することも多く、提携関係が有効に機能しなかった。

 NECは1993年から、SIビジネスのなかで、サン製サーバーを扱っており、2000年にはOEM販売も始めている。だが、その位置付けは、「サン製品の引き合いが強い通信事業者向け」にとどまっていた。

、このほか両社は、サンのシン・クライアント「SunRay」とNECのIPテレフォニ製品「UNIVERGE SV」を使ったソリューションを共同で売り込む、両社のミドルウエア製品の相互接続性を高める、など協業関係を拡大する。

星野 友彦=日経コンピュータ