今年3月末まで日本IBMで金融事業担当の執行役員を務めていた小出伸一氏が、日本テレコム常務に就任することが分かった。小出氏は4月4日付で日本テレコムの顧問に就任。5月1日付で同社常務執行役に就く予定。営業統括として、同社営業部門を率いる。
小出氏は1981年に日本IBMに入社。保険、損保、都市銀行(東京三菱銀行)の営業を経て,98年に北城恪太郎社長(現会長)補佐に。99年には米IBM企業戦略部門するなど、一貫して同社のエリート・コースを歩んできた。直近は、金融事業担当の執行役員として、銀行や保険、証券といった金融事業全般を管轄してきた。
一時は社長候補と言われた小出氏だが、今年3月末日付で、突然日本IBMを退職していた。IBM広報は退職について「個人的な都合」と説明するが、「今年2月に日本IBMが発表した、2004年度の会計処理に伴う社内不正の責任を取って退任させられた」(IBMユーザーである金融機関の幹部)との説もある。
日本テレコムは、日本IBM出身の倉重英樹氏が社長を務めるなど、IBMとの人的なつながりが深い。今回の小出氏の招聘も、こうしたパイプによって実現した可能性が強い。なお、日本IBMでは、金田 治 常務執行役員(元・インダストリアル・セクター アジアパシフィック担当)が今年4月1日から、小出氏の後任として金融事業担当を務めている。