SAPジャパン、住商情報システム(SCS)、日本ヒューレット・パッカード(HP)、ノベル、ビーコン インフォメーション テクノロジー(ビーコンIT)の5社で構成するSAP/MaxDBコンソーシアムは3月31日、SAP製品をオープンソース・ソフト環境で利用できるかどうかを検証する協力企業の募集を開始した。募集するのは3社で、SAP製品を利用していなくても応募できる。ただし、ソフトウエアのライセンスやハードウエアは別途必要になる。

 今回の検証では、SAPのデータ分析システム「SAP Business Intelligence(BI)」を、ノベルのオープンソースOS「SUSE LINUX Enterprise Server9」およびスウェーデンMySQLのオープンソースRDB(リレーショナル・データベース)「MaxDB7.5」で動作するかを調べる。SAP BIは、同社のミドルウエア群「NetWeaver」から、データ・ウエアハウス構築ソフト「BW」と企業情報ポータル構築ソフト「EP」を分離してパッケージ化した製品。MAX DBは、2003年5月までSAPが「SAP DB」という名称で提供していた。

 今回の検証に参加した企業は、コンソーシアム参加企業の技術サポートを受けることができる。システムを利用するための教育や手順書も、無償で提供される。SAP/MaxDBコンソーシアムはこの検証作業を通じて、オープンソース・ソフト環境でのSAP製品の利用実績を作り、普及につなげたい考え。日本HP マーケティング統括本部アライアンスマーケティング本部SAPアライアンスの渡辺篤マネージャは、「日本でも、Linux上でSAP製品を利用する企業が数社ある。コスト面のメリットを考えると、オープンソース・ソフト環境での利用は日本でも増えていくはずだ」と話す。

 SAP/MaxDBコンソーシアムは、SAP製品をSUSE LINUXやMaxDBといったオープンソース・ソフト環境で利用するための検証作業を実施したり、ノウハウの蓄積などを目指して昨年11月に設立した。SCSがシステム構築を担当するほか、日本HPはハードウエア、ノベルはSUSE LINUX、ビーコンITはMaxDBに関する技術サポートを提供する。SCS生産技術センターの村田勝之オープンソース技術チーム長は、「SUSE LINUXは欧州でSAP製品のプラットフォームとして利用実績が多く、MaxDBはもともとがSAPのデータベースなのでSAP製品との親和性が高い。オープンソース・ソフトの種類は数多いが、SAP製品を利用するのなら両者の組み合わせがベスト」と説明する。

島田 優子=日経コンピュータ