「これからの企業システムでは、今までまったく独立していた電話と情報システムの連携が重視されるようになる。そのためのアプリケーション開発には、通信事業者だけでなく、アプリケーションを開発する技術者や、業務に必要な新サービスを考えられるユーザー企業のシステム担当者の協力が不可欠だ」。電話とアプリケーション・システムのインタフェースの標準化を進めるパーレイ・グループのジークモント・ロジンスキー プレジデント(写真左)はこう語る。

 パーレイ・グループは、顧客管理システムなどの情報システムと、PBXやSIPサーバーといった電話システムを相互接続・連携させるためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の仕様を策定する業界団体。1998年、通信事業者や通信機器ベンダー、ITベンダーが中心となって設立。現在はブリティッシュ・テレコム、マイクロソフト、IBM、NTT、富士通など75社が参加している。すでに、電話の音声データをC、C++、Javaで書かれたプログラムで利用するための「Parlay/OSA」、Webサービスとして利用できるようにした「Parlay-X」といったAPIを策定済みだ。

 このAPIを使うことで、複数の携帯電話利用者の所在地や作業状況など(プレゼンス)を相互確認できるシステムや、電話でのやり取りを音声情報としてサーバーで管理するシステムを実現できる。電話は従来の固定電話だけでなく、携帯電話やIP電話でも利用できる。欧米では通信事業者や通信機器ベンダー、Webアプリケーション・サーバー・ベンダーなど80社がParlayの技術を採用している。

 「APIの仕様を決めても、通信サービス利用者に広く使われるアプリケーションが出てこなければ意味がない。だからこそ、システム開発者にも電話と情報システムの連携に関心を持ってもらいたい」とジェームス・エイコン上級委員(写真右)は話す。

 パーレイ・グループは、5月に大阪でグループの総会にあたるグループ・ミーティングを開く。日本の技術者にParlayの普及を図ることを狙って、標準を利用できる通信機器やWebアプリケーション・サーバー製品のデモを実施するほか、Parlayの標準の活用方法に関する教育、討議などの場を設ける。

西村 崇=日経コンピュータ